第2、第3のSTAP細胞事件はいつでも起きる
2つ目は、男女共同参画です。
誤解のないように言っておきますが、私は研究者として優秀な人ならば、男女を問わず平等に扱うべきだと思っています。
ところが、今の男女共同参画は、女性研究者の数を増やすことが目的で、その女性が研究者として適格かどうかには関心がない。だから、研究に向いていない女性が研究の道に来てしまう。小保方氏もその一人だったと考えられます。
私は高校生向けの講座などを積極的に担当していて、1回「リケジョ」企画で女子中高生限定の講座を担当したことがあります。
残念ながら、それは私が今まで担当した中で最悪の講座でした。
「女子」という条件だけで数が揃うように集められているので、そもそも科学に関心がない生徒が多いのです。実験器具も壊され、悲惨な目に遭いました。そういう女性を理系に誘うことは、真面目に理系の研究をしたい女性にとっても迷惑なことだと思います。
実際、研究者として成果を出してこられたシニアの女性研究者は、みな小保方氏に厳しいコメントを出されていました。
それに対して、「おばさんのひがみだ」といった小保方支持者の心無い発言が、当時ネット上に溢れました。そういう発言こそが本当の差別です。
3つ目は、研究費配分における競争的資金偏重です。
今は、研究計画書を書いて、コンペで予算を獲得しなくては、まともに研究を続けられない状況になっています。そうした状況下では、研究成果を盛りたいという誘惑が働いても不思議ではありません。
4つ目は、研究を「数」だけで評価する文化が浸透してしまったことです。論文数や博士号取得者数など、とにかく数だけで何でも評価されます。
さきほど述べたとおり、小保方氏の博士論文の第1章は、約20ページにわたりNIHのウェブサイトをほぼ丸々コピペしたものでした。第2章以降は自分で書いたものと思われますが、第1章と第2章以降で英語のレベルが全く違うのです。私が指導教員であれば、彼女の博士論文の第1章が本人の作文ではないことはすぐに見破ることができたでしょう。
つまり、指導教員が学生の書いた論文を全く読んでいないのです。とにかく、何でもいいから博士論文の審査を通して、博士号取得者数を増やせばいいということなのでしょう。
本来なら、この指導教員に対しては大学から厳しい処分が下って然るべきですが、今も教授として居座り続けています。今後もこのザルの目をくぐって研究者デビューする人は後を絶たないでしょう。ですから、第2、第3のSTAP細胞事件はいつ起きても不思議ではないのです。