今や大学生の2.6人に1人が日本学生支援機構の奨学金を利用。返済経験のある方は、頑張れば返せる、と思いがちですが、就職先に寮社宅があったのは昔の話であり、増えない給料から家賃を払い、奨学金を返していくのは大変です。奨学金を借りるにせよ、その額が膨らまないよう、教育費の準備が必要です。繰り上げ返済どころではないかもしれません。かといって60歳以降の返済は大変ですから、長く借りない、借りすぎない、ということが重要なのです。
「もう借りてしまった」「65歳以降も返済が残る」という人はどうすべきでしょうか。
まずは60歳まではひたすらお金を貯め、60歳でローンを見直しましょう。
たとえば毎月返済額が10万円、完済が70歳の場合、60歳時のローン残高は1100万円程度。60代前半の給料が大きく下がらず、毎月返済していけそうなら、60歳で500万円程度を「期間短縮型」で繰り上げ返済します。5年程度、期間が短縮でき、65歳で完済できます。
60代前半の給料が大きく下がり、月10万円の返済が厳しければ、毎月返済額が少なくなる「返済額軽減型」で500万円を繰り上げ返済。毎月の返済額は5万円程度になり、返しやすくなります。ただし70歳までローンが残るので、完済まで頑張って働きます。
いずれにしても繰り上げ返済が必要ですから、計画的に貯めていくことが大切です。繰り上げ返済には利息が軽減される効果があり、金利が高ければ早く実行すべきですが、金利が低いローンなら急ぐ必要性は低いと言えます。貯めるだけ貯め、教育費のめどが立ったら繰り上げ返済、という順番がいいでしょう。
(構成=高橋晴美 写真=iStock.com)