確実に資産を増やす方法はあるのでしょうか。「プレジデント」(2018年1月15日号)では、10人の識者に「知っておきたいお金のキーワード」について聞きました。第3回のテーマは「住宅ローン金利」です――。(全10回)

500万人が返済額を減らせるチャンス

住宅ローン金利が史上最低水準の今こそ、新規借り入れ・借り換えによって得する絶好の機会といえるでしょう。でも、そんなお得なチャンスをみすみす逃している人がおよそ500万人もいます。

この数は、2016年2月のマイナス金利政策導入以前に変動金利で住宅ローンを借りていた人の数。借り換えれば総返済額を減らせる可能性があるのに、その多くが「変動金利だから金利が下がれば自分のローン金利も下がるはず」と勘違いしているのです。

そうした誤解は、いわば住宅ローンの定価にあたる「基準金利(店頭表示金利)」と、そこから一定の金利を引き下げた実売価格である「適用金利」の2種類があることから生じています。巷で「安い」と言われる金利は「適用金利」のことで、一方の「基準金利」は09年以降ほとんどの銀行が下げていません。つまり、基準金利からの割引率である優遇金利のみが拡大し、その結果「適用金利」が安いと言われているわけです。また、優遇金利は契約時に決定してしまうので、それ以降変わることはありません。基準金利が変わらない以上、実際に支払う金利が変わることはないのです。