2階は教室一つ分程度の小さいスペースだった。壁側にはファミレス風のソファ席があり、中央には数卓のカフェテーブルが並んでいる。すでにあちこちで5組ほどの男女が雑談を交わしており、私はとりあえず空いている席に腰を下ろした。
ここで改めて周囲を見渡すと、どこか雰囲気がおかしいことに気がついた。男性たちのアプローチが異様に消極的で、会話が全然盛り上がっていないのだ。普通は婚活パーティーとなれば、男性側が積極的に話を振って会話をリードするよう頑張るものだが、ここにいる参加者たちには、その気力がまるで感じられない。普段はものすごい大声でおしゃべりしまくっているのに、どうしたのだろう。あまりにもウブ過ぎる。
参加者は、女性が30代中心で、男性は30~50代まで幅広い。年齢制限を特に設けていないので混沌としているが、このぐらい雑多な雰囲気の方が、気楽な感じもする。もっとも、中国では金持ちの男は親子ほど年の離れた若い美女と結婚することが少なからずあるので、日本のようには年齢制限を設けにくいのかもしれない。
私の隣のテーブル席に目をやると、小太りの30代男性が女性を前にして黙々と重箱に入った中華弁当を食べ続けており、ほとんど会話をしていない。女性の方も受け身で、所在なげに虚空を見上げている。また別のテーブルでは、互いにうつむきながらずっとスマホをいじっている男女もいて、彼女作る気あるのか! と言いたくなる。
日本人は中国でモテるのか?
席移動のタイミングは、主催者の中年女性が個別に仕切ってくれる。私は最初は一人で待機していたが、間もなく女性がやってきて、「こっちに座りなさい」と案内された。
着席すると、目の前にいたのは度の強そうな瓶底メガネをかけた女性だった。緑色のパーカーを羽織っていたが、生地が薄くて安っぽい。それより気になるのは、顔の輪郭と目つきが政治家の石破茂氏に酷似している点。
話をしてみると現在24歳で、彼氏いない歴=年齢らしい。性格は純朴で誠実そうなのだが、やや華やかさが欠けているように感じた。結局、連絡先を交換することなく席替えとなった。
その後は席替えを繰り返すなかで、日本での留学経験のある女性や、医療ツーリズムの会社を経営している女性など、かなり優秀そうな女性にも出会った。高学歴のキャリアウーマンほど婚期を逃すという法則は、中国も決して例外ではないようだ。