だが、都市部での不動産価格は高止まりが続いており、上海市内でのマンション価格は1平米あたり4万1802元(約63万円)。平均年収は5万2962元(約80万円)なので、ごく一般的な90平米程度のマンションを買うとなると、飲まず食わず71年間も働かなくてはいけないという計算になる。「普通の庶民」にはもはや家が買えないのだ。給与水準から見れば、中国の住宅価格は日本より遥かに高額と言える。そのため近年では、住宅を購入せずに身一つで入籍する「裸婚」も社会現象の一つとなっている。

会場を見渡すと、女性の参加者が目立った。一人っ子政策下の中国では出産時に男児を選ぶ人が多く、人口比率が男性過多に陥っている。普通に考えれば婚活パーティーでも男の方が多くなるはずなのだが、なぜだろう。陳さんに聞くと、

「男性は結婚に対して消極的だから、どうしても女性参加者の方が多くなるんだと思う」 と教えてくれた。なるほど、確かに中国人女性は日本人女性よりも、ずっと貪欲かつアクティブな印象がある。

デートに友人2人を連れてきた

婚活パーティーで知り合った福原愛似の陳さんと連絡先を交換して、後日ランチの約束にこぎつけた。「ウィーチャット」という中国版LINEでやり取りをしていたのだが、デート当日になって突然、彼女から「友達も連れて行っていいか?」と提案された。できればマンツーマンが良かったが、嫌だと言ってデートがおじゃんになるのも困るのでオーケーした。

いざ待ち合わせ場所の交差点に着くと、彼女は友人を2人も連れていた。しかも、服装は先日のスーツスタイルとは打って変わって、目にも鮮やかなショッキングピンクのパーカーを羽織っている。胸には変な英語がデカデカと書かれているが、こんな派手な服、日本ではどこにも売っていないだろう。

幻滅して頭がクラクラしたが、気を取り直して小ぎれいな中華レストランに誘い、4人で食事することにした。店内に入ると友人2人は私のことを監視するかのように無言で凝視しており、変なプレッシャーを感じる。

陳さんに、

「何か食べたいものある?」

と聞くと、

「何でもいいよ」

とは言うものの、メニュー選び一つ取っても、こちらの経済力やセンスを値踏みされているようで、なんだか息苦しい。