「健康を促す行動」「病気を予防する行動」とは
はじめまして。聖路加国際病院の石川陽平と申します。救急医として日々臨床や研究に従事していますが、臨床で出会う疾患のもとをたどると、患者さんの行動や生活習慣、社会環境などが原因になっていることに気付きます。そこで「健康を促す行動」「病気を予防する行動」を促進しようと、医師によるオンライン医療相談サービス「first call」の企画・運営にも従事しています。
「first call」には、普段病院に来る患者さんからはあまり相談されることのない、日常でのちょっとしたからだの悩みや疑問が多く寄せられています。この連載では、その中から多くの皆さんが同様に悩んでいるだろうものをピックアップして、医学的なエビデンスをもとに解説しながら、日常的にできる対策をご提案していきたいと思います。
第1回は、今年もつらい時期がやってきた「花粉症」についてです。
低年齢化する花粉症の発症
平成28年に東京都が実施した調査(※1)では、都内でスギ花粉症をお持ちの方は2人に1人(48.8%)にも上るとされています。さらに、昭和58~62年に実施した調査と比較すると、スギ花粉症の患者数は約5倍にもなっています。
また、以前は、花粉症は成人になってからかかる病気として認識されていましたが、最近では小児期からも症状が出現することも多くなってきました。これも、花粉症の増加につながっていると考えられています(※2)。
非常に多くの方が悩まされている花粉症。薬を飲んでいる方も多いと思いますが、それでも花粉症の症状が完全に無くなるわけではなく、「少しでもよくしたい」と思われている方は多いのではないでしょうか。
ちなみに、日本で花粉症の薬としては「抗ヒスタミン薬」が広く使われています。かゆみなどの原因となるヒスタミンの作用を減らすことで、症状の改善を促します。