同調圧力は「ネガティブマインド」もうつす

愛想笑いは「同調圧力」と密接に関係していますが、同調圧力で注意しなければならないことには「ネガティブマインド」の感染もあります。

潮凪洋介(原著)、うげっぱ(著)『漫画 もう「いい人」になるのはやめなさい!』(KADOKAWA)

ネガティブマインドの持ち主は、周囲の人が「そうだよね、ひどいよね」と言ってくれるのを待っています。「いい人」は、「これで相手がスッキリするならいいや」と解釈して、ネガティブマインドの持ち主が発する愚痴や悪口に、不用意に相槌を打ってしまいます。

相槌を地獄耳でキャッチしたネガティブマインドの持ち主は、一気に同意者を運命共同体としてとり込もうとします。愚痴や悪口を聞いていても疲れるだけであったり、場合によっては心がすさんでしまったりするものですが、一度、ネガティブマインドの持ち主に絡めとられると、そこから脱出するのは難しくなります。

ネガティブマインドの持ち主は、ほぼ例外なく、執念深いものです。仲間と認識した相手を、ネガティブマインドで染め抜こうとします。

愚痴や悪口は「汚染物質吸着剤」である

自己をしっかりと保つことのできない、ただの「いい人」はこの期に及んでも、「話を聞いてあげられるのは自分しかいない」と見当違いの解釈をして、ネガティブマインドの持ち主の相手をします。こうなると、もはや汚染物質吸着剤であり、心を病んでいくことになります。

自分の考えを抑えて、相手に合わせるのは「やさしさ」ではないのです。ネガティブな話には生産性がまったくなく、無駄以外の何ものでもありません。勇気を出して、ネガティブな話は遮断しましょう。話を切り替えてもいいし、無反応を決め込んでもいいのです。時には「悪口が長すぎ!」と苦言を呈してもいいでしょう。

それで関係が切れてしまっても、まったくかまわないのです。ただの「いい人」になって、ネガティブマインドに染まってはいけません。

大事なのは、自然体の自分を大事にすることです。それを実行することができれば、見透かされる愛想笑いをすることもなく、ネガティブマインドに感染することもない、のびのびと充実した人生を送ることができるのです。

潮凪 洋介(しおなぎ・ようすけ)
エッセイスト・講演家
早稲田大学社会科学部卒業。主な著書に、『もう「いい人」になるのはやめなさい!』『それでも「いい人」を続けますか?』(ともにKADOKAWA)、『「バカになれる男」の魅力』(三笠書房)、『「男の色気」のつくり方』(あさ出版)などがある。
(写真=iStock.com)
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