議員の仕事は議場での質疑が中心になるべき

ブログは都政の情報を発信するうえで、有益なツールだと思います。議員はブログでの情報発信を積極的に行うべきです。ただし、私は、議員の仕事は議場での質疑が中心になるべきだと考えています。

私の場合、朝起きてから力尽きて眠るまで、大小さまざまな会合や行事に出席し、その合間に政策研究や取材活動、議会での質問作成を行い、その他の活動があった上で、さらに時間ができればブログを書くといった具合です。昨年は専門である五輪関係や市場移転問題において、都議会で最も質疑時間を重ねた議員と自負しています。このため、その結果について、ブログなどでの発信も怠らないようにと心がけています。

音喜多氏について大変残念だと思うのは、ブログで大量発信するわりに、議会や委員会での発言が明らかに少なく、内容も五輪関係や市場移転問題について総合的な視点の不足が疑われるような発言が見受けられました。

実は、昨年までの私たちや都政記者たちも、音喜多氏の登壇時には「何かやってくれるのではないだろうか」というある種の期待感をいだいていました。ところが、彼が議会で繰り返すのは根拠薄弱な臆測による質問ばかりでした。

「土壌汚染Xデー」という言葉は何だったのか

たとえば百条委員会では彼が持ち出した「土壌汚染Xデー」という言葉がメディアを騒がせました。音喜多都議の主張によると、「Xデー」とは都の環境確保条例よりも厳しい国の土壌汚染対策法が適用される日です。かつて都は、豊洲市場建設に向け、土地の所有者だった東京ガスとの交渉を行っていました。その際、規制が厳しくなれば、土地価格は下落します。音喜多都議は、「Xデー」と書かれたメモを根拠に、都が価格下落を材料に東京ガスを脅していたのではないかと質問したのです。

ところが事実は逆でした。「Xデー」という言葉は、東京ガスの社内用語で、法の制定に先んじて、自らの土壌対策を発表する日でした。音喜多都議の質問に対し、福永正通元副知事は「全く事実を承知しておりません」と答えましたが、当然のことです。

メディアが飛びつきそうな話題をつくることは天才的にうまいのですが、それが現実の行政を動かすようなものにつながっておらず、ただの時間のムダ遣いになっています。むしろ、音喜多氏が提起した問題でメディアが動いた結果、都民の目が本質的な問題からそらされているという印象すらあります。これが東京の発展を阻止した一面がある事を強調しておきます。

たしかにブログを更新していれば都議としてはひときわ目立ち、人気も得られるのかもしれません。しかし彼に政治家として政策を実現する能力が本当にあるのかは甚だ疑問です。音喜多氏は、小池知事の側近として、何の中身もなくスタンドプレーと他人の批判だけに終始した政治家がどのよう顛末を送るかは見てきたはずですから、早く目を覚ましてほしいと思います。

ただ彼の発信力は誰にもない武器です。だからこそ、都議会自民党の政策について、ご自身や小池知事が批判してきたことは正解だったのか。ぜひとも彼のブログで検証していただきたいと思います。