バリュー投資は相場の暴落時にも強い
第3に「利益が伸びていて、効率的に稼いでいて、負債が多すぎない企業」であること。これは、財務諸表などでEPS(1株あたり純利益)、ROE(株主資本利益率)とROA(総資産利益率)、フリーキャッシュフローなどの数値を最低5年分見ればわかる。EPSとフリーキャッシュフローは増加していることが重要。ROEは15%以上、ROAは7%以上を維持していることが目安になる(※業種により目安は多少異なる)。
ここまでの条件を満たしたうえで、第4の基準は「将来性が期待できること」。これからのテクノロジーの進化で、明らかに失速していきそうな業種は避けるべきだし、経営者のインタビューから、時代に合わないビジョンを掲げていると感じられたら、やはり投資対象にはならない。
さて、駆け足でバリュー投資の株の選び方を紹介した。少し難しそうに思われたかもしれないが、実際にやってみると、これらの基準を意識すれば優良銘柄探しは案外難しくはなく、時間もかからない。
また、バリュー投資は相場の暴落時にも強い。08年のリーマン・ショックは、多数の企業や投資家の破滅を招いたが、他方、普段は高値の優良株が暴落したところを買い、莫大な富を得たバリュー投資家も多かった。バリュー投資家にとって、市場全体の暴落は恐怖ではなく、むしろハッピーな出来事なのだ。
このように、バリュー投資なら損はしづらくなり、暴落さえも怖くなくなる。株と長く付き合い、お金の不安がなくなるほど資産を築きたいと願うなら、18年はバリュー投資家デビューをしてみてはいかがだろうか。
(構成=元山夏香 写真=iStock.com)