CAの地位復活には、企業努力が不可欠

プレミアム感だけでCAの人材を確保できる時代は終わった。今後、CA人気が復活するには何が必要か。当たり前ではあるが、航空会社は一般企業と同じ土俵の上に立って「働きやすい職場」であることをアピールしなければならない。

現在の就職戦線全体を見渡すと、トップレベルの女子学生の1番人気は、意外に思うかもしれないが、実は「大企業の一般職」だ。その理由は「転勤がないから」。とびきり高収入の仕事が見当たらなくなった分、給料の高さよりも働きやすさを重視する者が増えている。航空業界もこの動きと無縁ではいられないはずだ。

ANAは14年から、JALは16年から契約社員で採用したCAを正社員の雇用に切り替えた。正社員化には人材確保の狙いもあるが、一方で労働者に安心感を与えるのも事実だ。またCAは宿泊の機会が多く、出産・育児が難しいというイメージがある中、JALの場合、妊娠がわかればすぐ産休に入れるし、出産前まで地上勤務に配置転換も可能だ。産後3年間育休も取れ、16年からは不妊治療休職制度も導入している。

今後はそうした労働環境がごく当たり前のことになり、「インフラ企業の勤務だから」「華やかな仕事だから」ではなく、「働きやすそうだから」という理由で、CAという職業が選ばれる必要があるだろう。

谷出 正直(たにで・まさなお)
採用アナリスト
1979年、奈良県生まれ。エン・ジャパンで、新卒採用支援事業に約11年間携わる。2016年に独立し、新卒採用のコンサルティング、採用アナリストとして活動。採用・就職活動に関する情報を発信する。
(構成=畠山理仁 写真=時事)
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