異動を真剣に考えていない人と、面談は行わない
社内面談は往々にして礼儀上行わざるをえないとか、決められた手順だから飛ばすわけにはいかないといった理由で行われる。だが、誰にとっても時間の無駄になってはならない。
「特にそれまでの経験と仕事の成果は、将来の成果を予測するために最重要基準になる」とキャペリは言う。応募者が明らかにそのポジションに向かない場合には、希望があっても面談してはならない。候補者は異動しなくても社内に残るのだから、敬意を持って遇することが大切だ。そのためには彼らに誤った期待などの誤解を与えないことや、仕事との相性について率直に伝えることもすべきだ。
さらに、「公正さを保つため、社内候補者と社外候補者をできるかぎり同じ基準で一貫性を持って評価することが大切だ」と、カントレルは言う。だが、社内候補者は会社や会社の文化をよく知っており、場合によっては自分が希望するポジションの職務についてもある程度知っている。したがって社内候補者は、会社の状況によっては、こういったことについてきちんと理解をしていることを証明できるだけの受け答えができなくてはいけない。たとえば、同僚との意見対立をどのように処理するかと質問された場合、社外候補者はたいてい一般論で答えるだろう。だが、社内候補者であれば、会社の方針と一致するやり方での対処法、もしくはその組織独特のやり方を知っていることを証明できなくてはいけないのだ。
とはいえ、優秀社員の誰もが異動面談でうまくやれるわけではない。面談の様子がいまひとつでも、社内で高い評価を得ている場合には、別の人にあらためて面談してもらうことを考えよう。「面談の評価は並でも、一貫して成果をあげてきた社員を異動させるほうが、面接ですばらしい評価を得た社外候補者を選ぶより、通常はうまくいく」と、カントレルは言う。