仕事に対する「意欲」を評価せよ

「社内候補者に対する最もよい質問は、異動を希望する動機にかかわるものだ。なぜこの仕事に関心を持ったのか、具体的にどんな仕事をすることになるか本当にわかっているのか、といった質問だ」と、キャペリは言う。彼らの現在の業績について尋ねるのではなく、将来に注目しよう。動機を明らかにするために、行動や特性に焦点を当てた質問をすることが大切だ。

たとえば「このポジションで全力を発揮するためには、どんな材料が必要か」とか、「このポジションに就いたら、最初の90日間で何をしようと考えているか」といった質問である。このような質問に対する回答は、候補者の思考プロセスや、即戦力になれるかどうかについてより正確に知る手がかりを与えてくれるはずだ。

社外の人でも社員でも、面接でわかるのは能力の一部である。カントレルによれば、ホワイトカラーにも、「実務シミュレーション」という手法を使っている企業もある。
「『できます』という相手の主張で可否を判断せず、実務をやらせて能力を証明させる方法を強く勧める」と、彼女は言う。この方法は、社内候補者が新しいポジションでどの程度やれるか、マネジャーが十分把握できていないときに特に有効である。

ダイムラー・クライスラー(当時)三菱自動車、ヒュンダイの3社は、合弁工場を設立するにあたって、業務マネジャーや工場技術者を含む約50人の専門職社員を作業シミュレーションに参加させた。成績の悪い部下と問題について話し合うとか、メモや電話を選り分けてその日の仕事の優先順位を決めるといった作業も含まれていた。候補者に実務をやらせてみることが不可能なら、一種のロールプレーで「サンプル作業」を完了したと見なしてもよい。