なぜゲームで思考力・判断力・表現力・主体性が身につくか

それでは、ボードゲームで「生きる力」が伸びる理由を紹介していこう。ここでは新学習指導要領に合わせて解説する。

まず、(2)の「知識・技能を活用して、課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力など」。

「ボードゲームには必ず、ルールがあって、目指すべきゴールがあります。まずはルールをしっかり覚えて、それにのっとってプレイする必要があります(知識・技能の活用)。そして、勝つためにはゴールから逆算してどのようにプレイしていくか戦略を考えたり(思考力)、刻々と変わる状況に合わせて判断したりすることが求められます(判断力)」(藤本さん)

「ゲームには心理戦の要素もあって、戦略に基づいて有利に進めるためにポーカーフェースでウソをついたり、はったりをかましたりすることがあります。これをするには、自己コントロール力と相手にあわせた高度なコミュニケーション力が求められます(表現力)」(高橋さん)

まさに、(2)を実現するためのトレーニング、そのものである。ボードゲームは種類が豊富なので、こうしたトレーニングをさまざまなパターンで積むことができる。

「新しいボードゲームをするときには、何が勝つための定石となるのかを考えるようになっていきます。たとえば、オセロなら角を押さえると勝てるといったことです。こうしたことを考えるトレーニングは、仕事を任された時、それを成功させるための重要ポイントを見抜く勘の良さにつながっていきます。中学受験の入試問題でも、トップ校の問題は隠れた法則を見つけ出し、答えを導くような出題があります。これから大学入試でも増えていく、思考力を問う出題にも対応できると思います」(福山さん)

*協働力を育むゲーム「花火」。同色の花火カードを1~5まで並べ花火を打ち上げる。ヒントをもらったりヒントを出したり。「うまく部下を動かせない上司の気持ちが体験できる」(高橋さん)。プレジデントFamily冬号「頭がよくなるボードゲーム18」で紹介。
▼親が純粋にゲームを楽しめば、子供は伸びる

次に(3)の「主体的に学習に取り組む態度」だが、これはボードゲーム自体が楽しいのでカンタンにクリアできそうだ。「勝ちたい」という気持ちが湧けば、自分で試行錯誤するようになる。

「大切なのは、親が子供に『こうすれば勝てたのに』とか、『こうすればいい』と先回りして教えないことです。子供が負けた時に悔しがって、『どうしたら勝てるんだろう』と聞いてきたら、考えるためのヒントを与える。それくらいが自分で考える力をつけるにはちょうどいいです。親が純粋に一緒にボードゲームで遊ぶことを楽しんでいれば、考えることも大好きなお子さんになると思います」(為田さん)