決して負けないことを求められるアメリカ海兵隊。なぜ絶対勝つ戦略策定ができるのか、隊員が瞬時に最高の意思決定を下せるのか。その学習プログラムから、常勝ビジネスの秘訣を探る――。
世界最強の組織から、学べることは多い
「世界最強」といわれる米海兵隊に日本の組織と共通性があることはあまり知られていない。ゆえに学ぶことが多いのだが、まずは日本と海兵隊との関わりについて触れておこう。
東日本大震災の際、米軍による「トモダチ作戦」という救助救援・復旧支援が行われたことは記憶に新しい。中でも活躍したのが海兵隊だった。
たとえば、自衛隊もたどり着けず、完全に孤立した宮城県気仙沼市の離島、大島に海から上陸できたのは海兵隊だけだった。陸海空の部隊が一体化した海兵隊は揚陸艇を接岸させ、補給物資、工事用車両、要員を陸揚げして救援にあたった。
海兵隊の救援活動は陸海空の複合的な統合作戦である水陸両用作戦を適応したのだが、この作戦はもともと太平洋戦争中に開発されたものだった。
旧日本軍は南方の島々に拠点を構築した。これを一つ一つ攻略するために海兵隊が必要とされ、水陸両用作戦という戦法のイノベーションが起こった。太平洋における日本軍の侵攻がなければ、アメリカでも海兵隊の存在価値はさほど認められなかった可能性がある。逆説的にいえば、「海兵隊は日本によって育てられた」ともいえるのだ。