英語が不得意なのに海外赴任が突然決まり、慌てて勉強を始めるビジネスパーソン。しかし、時間がないのはかえってチャンス。どうやって必要な英語を習得するか。永瀬社長のノウハウとは――。

「口先もごもご」よりも英米流で!

英語を含め、学習の成果はモチベーションに大きく左右されます。モチベーションを高めるのは目的と、期限や目標設定です。急に海外赴任が決まったとすると、「3カ月後にビジネス会話ができるようになっていないと、赴任先で活躍できずに昇進の道も閉ざされる」となれば、目的も期限や目標も明確です。いつ必要になるのかわからない状況でだらだら学習するより、モチベーションは極めて高くなり、上達もしやすいはずです。

ナガセ社長 永瀬昭幸氏

勉強するとき重要なのは先生選び。ひとくちに海外赴任といっても、赴任先の国や担当する仕事の内容によって、求められる英語の質は異なります。たとえば発展途上国の工場で現場のスタッフと一緒に汗をかくようなポジションで赴任するなら、ローカル色の強いブロークンな英語でもかまいません。ただ、世界中どこであれグローバル企業の幹部と商談するなら、ブロークンはまずい。

もし私が年中郷里の鹿児島弁で通すとしたら、鹿児島以外の方は意思疎通に苦労すると思います。それは英語でも同じ。グローバル企業の幹部に、なまりの強い英語やスラングは通用しません。相手は教養あるエリートですから、標準的な発音で英米文化にも通じたネーティブの先生について学ぶべきです。

いきなり英米のネーティブ英語を習得するのはハードルが高いから、まずは身近なアジア英語から、と考える人もいるでしょう。ただ、英米人は顔全体の筋肉を運動させて話すのに対して、日本人も含めてアジア人の多くは“口先もごもごイングリッシュ”。アジア人同士だと伝わりやすいのですが、その癖を1度つけてしまうとなかなか抜けません。学ぶなら最初から英米のネーティブ・イングリッシュのほうがいい。

▼先生選びは赴任先を考えて
○ 英米出身の先生
× 某辺境国出身の先生

「なまった英語でペラペラ」より大事なこと
あるレベルの責任者として海外へ赴任する場合、どの国であれ現地幹部は洗練された英語や文化を身につけていると考えるべき。ブロークンでも「会話ができればいい」と考えるのは軽率だ。アジア英語でペラペラしゃべることよりも、まずしっかりと英米のネーティブ・イングリッシュの発音や背後の文化を学ぶべき。