新しい診断基準・社会的認知とは

そして認知症の症状は、表のように中核症状と行動症状、心理症状に分かれる。中核症状は脳の障害からくる症状で、すべての認知症患者に共通するもの。「新たなことを学習し、記憶する」「自分の置かれた状況を理解する」「言葉を正しく理解し語る」などの能力が損なわれていく。一方、行動・心理症状は中核症状と違ってすべての患者に表れるわけではない。徘徊、妄想、無関心など、個々人の体調や生活環境に影響されて表れるものだ。

なお認知症かどうかは、アメリカの精神医学会が発表する診断基準(DSM)に照らし合わせて判断される。これまでは特に記憶障害が重要視されていたが、13年に診断基準が新しくなり、あまり考慮されてこなかった「社会的認知」の障害が、診断する基本項目のひとつとして追加された。

「『社会的認知』とは社会において人と人の絆や相互理解を築くために必要な認知機能。具体的には他者への共感や、社会性・協調性といった『心』や『感情』に近い領域です。このように対象が広がったことで、認知症への理解がさらに進むことが期待されています」(同)

伊古田俊夫
1949年生まれ。勤医協中央病院名誉院長。社会脳科学の立場から認知症の臨床研究を進める。近著に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社ブルーバックス)
 
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(写真=iStock.com)