医療界の自主性に委ねた取り組みでは失敗

読売社説は「大学医学部・病院からの医師派遣についても関与を強める」とも指摘し、「現行では、医療計画に医師確保策を記載する規定はあるものの、内容に具体性を欠く事例が多い。医師の確保・定着にとって重要な医師養成課程に関する都道府県の発言力が小さいなど、対策に限界があることも一因だろう」と説明する。

そして「医療関係者の自主性に委ねた取り組みでは、是正されなかった。医療提供体制に責任を持つ都道府県の権限を強めて、一定の強制力を持たせる狙いは適切だ」と再び評価する。

都道府県の権限強化はいいが、それとともに医師法や医療法で医師自体をある程度、規制する必要があると思う。

診療所の開業要件にすべきだとの声も

読売社説はその後半で「医師の4割は地方勤務の意思を持っている。20歳代では6割に上る。一方で、キャリア形成や労働環境に不安を抱く医師は多い」とも解説し、「都道府県と大学医局が連携し、地方勤務を組み込んだキャリア形成プログラムを作る。休日の代替要員確保などで負担軽減を図る。不安払拭に知恵を絞りたい」と主張する。

読売社説が主張するようにいろいろと知恵を絞ることは大切だろう。さらに大切なのは知恵を出したらそれを実行することだ。

「報告書には、地方勤務を経験した医師の認定制度の導入も盛り込まれる方向だ。一部の病院長の就任要件にして、医師不足地域での勤務を後押しする目的がある」
「認定を就任要件とする医療機関の範囲が狭ければ、効果は限られよう。検討会では、診療所の開業要件にすべきだとの声もある」

読売社説が紹介するように、こうした認定制度の創設も重要である。しかし反発も予想される。たとえ反対の声が上がったとしてもとにかく知恵を出したら自信を持って実行することだ。全国で実施する必要はない。まずは特定の地域で実験的にやってみることだ。