では、役員として外資系からヘッドハントされるためにはどうすればいいのか。まずは自分の意見や考えをはっきり伝えられる、基本的な英語力は最低限の条件です。もちろん話せるだけではダメで、物事を論理的に説明できるロジカルシンキングができないといけません。

自分をより大きく見せることが重要

外国人には、将来あるべき理想の姿、ビジョンを明確に示すと響きます。そのためにはいつまでに何が必要で、今やるべきことはこれだ、と将来から逆算した論法が有効です。

私は、外国人の上司や部下と話し合うときには必ず三段論法を使うようにしていました。A=B、B=C、ゆえにA=Cというあれです。外国人に説明するときは、将来的なビジョン、現状と課題、今やるべき修正点や改革の3つを含めた客観的な論理を組み立てると、非常に説得力が出ます。

あとは、自分に何ができるか、どんなネットワークを持っているのか、自己プレゼンテーションをする力ですね。これは日本人の苦手分野ですが、慎み深さや謙虚さなど、外国人は全く評価しません。自分を実力以下に評価されることはあってはならないし、ある意味では実力以上に評価させるようなアピール力が必要なのです。

以前、日本の銀行でトップ争いに敗れ、外資系金融機関にヘッドハントされた人物がいました。先ほどの話と矛盾するようですが、その人は英語が話せませんでした。

しかし、自分が日本の銀行で残した実績、他の人や部下の仕事もすべて自らの功績として語り、人脈も財務省から日本銀行まであらゆるキーマンを知っていると話すなど、自分をより大きく見せることが上手な人だったのです。英語を話せないマイナスを補って余りある強みだと評価されたということです。

ただ採用後、チームマネジメント力に欠けることがわかって解雇されてしまいました。使えないと判断されればすぐに切り捨てられる、これも外資系の現実ですね。