「ちゃんと」「きちんと」家事をしなければ、子供は「ちゃんと」育たない。この刷り込みはどこからきたのか。翻訳家の佐光紀子氏は「昭和30年代から、政府が食や家事の外注化を『家庭機能の低下』といってきたからだ」と指摘する。なぜいまだに「家事なんて適当にやればいい」と言えないのか――。(第2回、全3回)
※本稿は、佐光紀子『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社新書)の第1部「完璧家事亡国論」を再編集したものです。
日本人は家事を外注したいとは言わない
修士論文で、「なぜ女性が家事を担うのか」を、何組かのご夫婦に別々に話を聞きながら探ろうとして、最初に行き当たったのは、誰もが「ちゃんと」した食事を「家で」作ることや、自分たちで家事を「きちんと」することは大事だという価値観を共有しているということだった。裏を返すと、「家事なんて適当にやればいいし、誰かがやってくれるならぜひお願いしたい」などという答えに出あうことは、ついぞなかった。
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