デザイン性より機能性を重視した商品
ファーストリテイリングの儲け具合も確認してみる。収支を1000円の商品販売にたとえてみた。原価と経費はいくらについていて、儲け(営業利益)具合はどの程度なのか――。
同社はSPA(製造小売業)として成長してきた企業だ。同じSPAでも自社工場を持つ家具販売のニトリホールディングスとは対照的に、製造そのものは協力工場に依頼するというのが、同社のビジネスモデル。つまり、素材メーカーと直接交渉して大量に原材料を調達し、それを協力工場で大量の製品に仕上げ、全量を買い取ることで、商品原価をできるだけ低く抑える。
保温性に優れていることから冬の定番として世界的にヒットしている「ヒートテック」に代表されるように、デザイン性よりも機能性を重視した商品が得意分野。同社の表現を借りれば「究極の普段着」である。
仕入れが中心のしまむらの場合、1000円の商品にたとえた原価は600円台後半。それに対してファーストリテイリングは500円前後である。SPAの強みをいかしている証左だ。
ちなみに、「ファッションセンターしまむら」を中心に「アベイル」や「バースディ」などの店舗を運営しているしまむらの納入先として明らかになっているのは、繊維商社のタキヒヨーや衣料品製造卸のクロスプラス、ストッキングやインナーのアツギなどである。
経費で注目すべきは人件費だろう。17年8月期の人件費の計上額は2525億円。13年8月期1401億円の1.8倍である。就業人数そのものが増えたこともあるが、パートの正社員化を推進したことも、人件費の増額につながったようだ。ただし、1000円の商品販売における人件費の割合は、毎期のように135円前後で推移。人件費増を売上高の伸びでカバーしていることが見てとれる。
1000円の商品販売で獲得している儲けはここ3期、98円、72円、95円で推移。同じように計算すれば百数十円台をキープしている、インディテックスやH&Mと比べると多少見劣るものの、日本の小売業としては高水準の儲け具合といっていいだろう。
ユニクロといえば、女性客が中心と思いがちだが、男性用の販売も女性用に劣らない。国内店舗でいえば、女性用が全体の半分弱を占め、男性用が4割強、その他が1割といったところだ。