「紙の計算機」を活用しよう

まず、次の問題にトライしてほしい。「地球から月までの距離は約38万kmある。では、はたして1枚のコピー用紙(厚さ0.08mm)を何回折ると、紙の厚さが地球から月に到達するか。(1)約40回、(2)約4000回、(3)約4万回」――。

こうした大きな数の計算をするときに便利なのが、「指数法則」である。指数法則とは、2数のかけ算は指数のたし算として、わり算はひき算として計算できる便利な法則だ。2の2乗や3の2乗など数字の右肩に乗っている数字のことを指数という。

指数法則に基づいた「対数表」を使うと、かけ算やわり算が簡単にできるので、私は対数表を「紙の計算機」と呼んでいる。実際、電卓が発明されるまで、対数表は計算機として使われていた。

対数表は、図のように「2」を基本に考えるとわかりやすい。上の段は「1」を2倍ずつしていった数。下段は2をかけた回数(対数)になっている。

かけ算の場合、たとえば「16×64=?」は、それぞれの下にある数の4と6を足した10の上段の数が答え(1024)になる。「8×32=?」ならば、下段の数「3+5=8」の上段の数(256)が答えだ。

わり算の場合は、下段の数をひき算する。「8÷2=?」ならば、「3-1=2」の上段の数(4)が答えである。

この指数法則を使い、月に到達するまでコピー用紙を何回折ればよいのかを計算してみよう。紙を2回折ると「2の2乗=4倍」、3回折ると「2の3乗=8倍」、10回折ると「2の10乗=1024倍」……と倍々で増えていく。