「コッペパン店」を出した理由
なぜコメダがコッペパン専門店を出店したのだろうか。清水氏が続ける。
「もともとコメダ珈琲店はパンにこだわってきました。40年前から提供している看板商品『シロノワール』は、デニッシュパンの上にソフトクリームを載せて出していますが、このデニッシュパンも自家製です。そこで『パンを使った別の商品を提供できないか?』を社内で議論するうちにコッペパンに行き着いたのです」
最近は、コッペパンがブームで各地に専門店もできているが、出店はそうした流れとは無関係に進めていたそうだ。末永く販売したいので、ブームになってほしくなかったと本音も明かす。
「『やわらかシロコッペ』と名づけたように、選ぶ小麦粉や発酵の仕方、焼き方にこだわり、白い質感と柔らかな食感が特徴です。お客さまには、その日のうちにお召し上がりいただくようお願いしています」(清水氏)
名古屋が本社のコメダは、ソラマチ出店の前に名鉄百貨店本店(名古屋市中村区)で今年4月5日から5月2日までの1カ月弱、先行販売をしてきた。その結果も好評で、9月27日から装いも新たに、同店地下に常設店としてスタートさせた。
実は、“コッペパンの聖地”と呼ばれる店が岩手県盛岡市にある。創業70年の「福田パン」(フクダパン)だ。価格は1個139円から。盛岡市内の高校にも配達しており、「福田パンを食べて大人になった」と話す盛岡市民は多い。
コッペパンが一気にブームとなったのは最近だが、十数年前から雑誌の「東京・下町特集」ではコッペパン専門店も紹介されていた。それも浅草や上野といったメジャーな地域ではなく、墨田区京島のようなローカルな場所だ。当地にある「ハト屋」は大正元年創業と福田パンより歴史が長く、価格帯もほぼ同じ。東京における「聖地」となっている。
こうした老舗店に比べるとコメダのコッペパンは安くはないが、ソラマチや百貨店の商品としてはお手頃だ。ちょっとしたお土産や自宅用として利用しやすいかもしれない。