ジャイアンツの9連覇は超えないといけない

【後藤】ホークスはソフトバンクグループのブランド価値を高めることが重要な役割で、その具体的な目標は「世界一」なわけです。世界中の野球チームの人気投票でホークスが1位になるのが最終的な目標です。そこまではまだまだです。現時点では、100点満点で30点でしょうね。世界一になるためには、まず日本一にならなければならない。10連覇しなければならないと考えています。

スカイマーク・佐山展生会長

【佐山】うん。なるほど。そうですね。

【後藤】やっぱりジャイアンツは9連覇しているわけですから、すごいですよ。あれを超えない限りは何を言ったってダメでしょう。100人中100人に「それはもうホークスが日本一でしょう」と言ってもらえるようになるには10連覇するしかない。

【佐山】ホークスさんが30点なら、スカイマークはまだ5点ぐらいですよ。ぜひ教えていただきたいんですが、福岡の人の3割は、スカイマークが羽田-福岡便を就航していることをご存じありません。もっと知っていただくには、どんなことをしたらいいですか?

【後藤】コストはかかりますけど、たとえば「搭乗片道無料」というキャンペーンはどうですか。一回でも乗ってもらえれば、スカイマークへの印象も変わるはずです。

【佐山】なるほど。野球でもそうですよね。一度ヤフオクドームに行くと、チームへの親近感はグッと変わりますもんね。

死なない程度の失敗は、したほうがいい

【後藤】ちなみに孫さんは、いつもそういう大胆なやり方をするんです。「まずタダで配る」というのは、孫さんの得意な戦略ですね。いま、大胆という言葉を使いましたが、経営では大胆にことを進める一方で、慎重さも大事です。私は両方のメリハリをつけているつもりです。組織で考える場合、チャレンジしないとチームは成長しません。原則は「やってみなはれ」です。会社が死なない程度の失敗は、したほうがいいんです。子どもが転んで血が出るくらいの経験をしたほうがいいのと同じです。

【佐山】私は、プライベートでもたとえば1%でも可能性があるなら突っ込んでいきますよ。たとえば、新幹線に乗る時、走ればギリギリ1本前の列車に乗れるかもという時は、まず間違いなく汗をかきながら階段を駆け上がって乗ります(笑)。でも、大抵はギリギリ乗れるものなんですよ。

プライベートも仕事も、ほとんどの人が「それはムリやろ」というのを私はいけるかもしれんと思ってやることにしています。ほんのちょっとの可能性があれば、やります。でもこれも、それぞれの人生観です。ゆっくり暮らしたいと思うか、がんがんがんばって生きたいと思うかですね。今日は、貴重なお話をありがとうございました。

後藤 芳光(ごとう・よしみつ)
福岡ソフトバンクホークス社長
1963年生まれ。一橋大学卒業。87年安田信託銀行(現みずほ信託銀行)入行。2000年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)入社。13年10月から福岡ソフトバンクホークス社長兼オーナー代行。ソフトバンクグループ専務執行役員財務統括も務める。

佐山 展生(さやま・のぶお)
スカイマーク会長
1953年生まれ。76年京都大学工学部卒業。94年ニューヨーク大学大学院(MBA)、99年東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了。帝人、三井銀行(現・三井住友銀行)勤務を経て、98年ユニゾン・キャピタルを共同設立。2008年インテグラル社長。15年より現職。
(構成=三宅玲子 撮影=プレジデントオンライン編集部)
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