巷間、散見されるのは、顕在化してしまった「課題」管理に追われ、それをリスク管理と混同してしまっているケースです。あくまで未然に防ぐのだという意識が重要です。

可能性とインパクトのマトリックスで考える

やり方としては、「気になる」事象が発生したときに、会議で対処法を振り分け、誰が、何を、いつまでにすべきかを決めます。また、対処法の振り分けについては、「軽減」「転嫁」「回避」「放置」の4つに分類します。

たとえば会議で、「取引先からの納品が遅れそうだ」という報告があったらどうするでしょうか。

まずは、「気になる」度合いについて、可能性とインパクトのマトリックスで考えます。可能性が高くて、インパクトも大きいと判断されるものは、当然喫緊に対応しなければならない、最優先事項となります。

もし納品が数日遅れても問題が少ないなら、取引先にその範囲内で納品できるかどうかを確認し、それ以上は遅れないよう依頼する判断を下すかもしれません。これが「軽減」です。あらかじめ手を打って、リスクを減らすわけです。納期を絶対に動かしたくなければ、ほかの業者に一部を依頼してピンチを切り抜ける方法もあります。これが「転嫁」。だれかに手助けしてもらえば解決する案件です。

また、これから取引が始まるかもしれないという相手が不祥事に見舞われたら、契約せずに「回避」することができます。さらに、気にはなるけどトラブルが起こる可能性やインパクトはきわめて低いと判断できるものは、様子見をするため「放置」します。

こうしたリスク管理や「うっかりミス」の防止は、成功への最短距離を着実に歩む方法だと考えています。

(構成=小澤啓司 撮影=谷本 夏)
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