アウトライン機能を使いこなす

パワーポイントやMS ワードには、活用すべき機能があります。それが「アウトライン機能」です。私が最初にアウトライン機能に触れたのは、BCG 入社後、2年ほどたった頃でした。アメリカMBA 帰りの若手コンサルト河田卓さんが、アウトライン専用のソフトウェアを教えてくれたのです。「三谷さん、これ、使うといいよ。『マインドプロセッサー』っていうんだ」と。

使い始めて、確かにそのとおりだと、感じました。自分の考えを、処理するのにとても役立ったからです。アウトライン機能には、シンプルな構造(だけ)があります。それは、階層と親子関係です。ビジネス文章・資料なら、これで十分です。プレゼンテーションスライドの構成を考えれば、

―レベル1はスライドの題名
―レベル2はその下のメインボディ
―レベル3はそのサブ

といった具合。詳細説明のためにレベル4まで使うかもしれません。でもそこまで。
階層をそれ以上深くしてはいけません。プレゼンテーションスライドではなく、ソフトウェアのプログラミングになってしまいます。最初はアイデアやストーリーの細切れをどんどん打ち込みます。そしてそれを眺め渡して構造をつくります。階層を上げたり下げたり、親子の分類をし直したり。削ったり増やしたり。そうしてシンプルな構造をつくっていくのです。

できたと思ったら、レベル1だけを表示してみます。スライドの題名だけがならぶはず。それで、話しが通じるでしょうか? 通じるならOK。次はレベル2も表示してみます。スライドの題名で言っていることを、ちゃんとサポートしているでしょうか? 以下、繰り返します。アウトライン機能でつくれるものは、精妙な芸術作品ではありません。ブロックを積み上げていく地味な構築物だけです。でもだからこそいいのです。シンプルな構造だからわかりやすいのです。アウトライン機能は言わば、強制的にあなたの考えをシンプルにする矯正マシンなのです。聴いてわかる、読んでわかりやすい資料にするために、私はまだまだ技を積み上げます。だって、しゃべるの下手なんですから……。