クルマをコンセントに挿すのは当たり前
【安井】ノルウェーではどこでも充電しやすいということですか。
【清水】ガソリン車も冬には電源コードをコンセントに挿していたということです。だから電源コードをコンセントに挿すのは慣れている。
【安井】充電インフラもすでにできているということですね。
【清水】できています。ユーザーのライフスタイルもクルマを止めたらコンセントに挿すもんだと思っている。EVになって挿すのも、別にエンジン車と同じじゃんという感覚。これは瓢箪から駒ですよね。
【安井】じゃあ、ノルウェーだけじゃないでしょ、北欧だと。
【清水】ええ。アイスランド、グリーンランド、カナダも同じような状況らしい。カナダは、そこまでじゃないようですが。ノルウェーが面白いのはそれだけではない。ずいぶん前から水素利用にかなり積極的でした。マツダのRX-8の水素ロータリーが売れましたし、オスロのガソリンスタンドには水素ステーションもあり、気軽に水素を入れられるんですね。
【安井】昔からノルウェーは水素社会をつくろうとしていましたね。
電力の96%を水力でまかなっている
【清水】ノルウェーという国は非常に面白い国です。深い谷のフィヨルドがあります。雪が解けたら、ものすごい量の水が高低差のあるフィヨルドを利用したダムに流れ込み、水力で発電するんです。各家庭は全部水力発電、自家用水力発電があって、裏山から流れてくるところにタービンを置けば、発電しちゃう。だから自宅の電力は全部フィヨルドの雪解け水でまかなえる。
【安井】電力の96%を水力でまかなっているようですね。日本とは大違いだ。
【清水】問題なのは真冬です。凍ってしまうから、水力発電が使えない。太陽が照らないから太陽光発電も使えない。冬をどうやってサバイバルするかが課題だったところに水素が出てきた。
【安井】夏に余った過剰電力で、水素をつくって貯めておくんですか。
【清水】水素だったら350気圧ぐらい加圧すれば、1年間ぐらい備蓄できるんです。だから数カ月の真冬は水素にして電気を貯めておく。だから上流のところは一年中、再生可能なエネルギーなんですね。