マイナスな部分も含めて、自分「全体」が好き
【山里】僕らの世界は特殊で、マイナスが武器になると言われています。マイナスを武器に変えられるのが、お笑いの才能なんだと。だから、自分もお笑いの才能を使えているんだなと思うんです。
【若新】こんな自分だから嫌だというのではなく、この自分をどう生かすか、ですね。
【山里】僕がもし男前だったら、今のような状態ではなかっただろうなと思うんです。男前だったら、多分しゃべるのを頑張ろうとしなかった。そう考えると、この容姿にも感謝できますね。それに、男前でむちゃくちゃスベっているヤツを見るのは楽しいですもん(笑)。顔という「部分」では勝てないけど、「全体」で俺のほうが勝ってるだろ、って思うんです。
【若新】自分のことを好きになれない人は、マイナスな「部分」にこだわってしまう。山里さんは、それもひっくるめた自分を「全体」として大好き。すばらしいナルシスト論ですね(笑)。
それが本当の意味での「自尊心」だと思います。「自信」と「自尊心」はよく似た言葉ですが、少し違います。「自信」は「テストで何点取った」とか「仕事で評価を得た」とか、条件にひもづいていることが多い。だから、その条件が下がると自信も続かない。
一方で、「自尊心」はマイナスな部分も含めたありのままの自己肯定からできている。だから、山里さんは「生まれ変わってもこのままがいい」と言えるんですね。
【山里】頭の中になかったいろいろなものを、ちゃんとした言葉にしてもらえてうれしいです。ありがとうございました。
(構成=前田はるみ)