ネットやSNSを雑誌の企画に生かす

松田氏はネットを使い、企画へ生かすのが非常にうまい。例えば「オタクに学ぶ 多すぎるものの収納術」(2017年6月号)など、従来のターゲットとは異なる層から話題を集める企画も多い。この企画はネットでも話題になった。

“オタクに学ぶ収納特集”がネットで反響を呼んだ2017年6月号。誌面の2ページでは足りないだろうという判断で、追加記事をネットに掲載。

「この時は、アニメ映画『君の名は。』のバッグを付録にした特別号を発売するタイミングでした。付録目当てで買ってくれる人も満足できるコンテンツが欲しいと考え、メンバーから出た案を採用したのです。実際には、大きな収納企画のうち、2ページを割いたのみでしたが、ツイッターでこの企画についてつぶやいたら、なんと8000件ものリツイートがあったんですよ。これだけ話題になった以上、期待外れの内容ではマズイと思い、慌ててオタク収納の記事を3本追加することに。紙媒体には間に合わないので、ネットチームと連携してWebサイト(レタスクラブニュース https://www.lettuceclub.net/)に掲載しました」

また、SNSの使い方も特徴的だ。編集部の全メンバーにもツイッターのアカウントを取得してもらい、日頃から発言を促すようにしているが、そこでつながりが生まれ、企画へと発展したものもある。

「埼玉県志木市の文化スポーツ振興公社の公式キャラクター・カパルくんの登場は、ツイッターのやりとりがきっかけです。『料理が趣味で、レタスクラブを愛読している』とつぶやいていたので、『編集部においでよ』と声をかけました。メンバー全員でやりとりするうち、カパルくんのファンが盛り上がり、企画に登場してもらうことにしたんです」

“オタクに学ぶ収納特集”がネットで反響を呼んだ2017年6月号。誌面の2ページでは足りないだろうという判断で、追加記事をネットに掲載。

現在もさまざまな企画の展開を模索し続けていると話すが、そこに迷いがある場合にはどうしているのだろうか?

「読者数名とLINEのグループを作っていて、企画について投げかけ、率直な意見を返してもらっています。また、読者アンケートも『ぶっちゃけ、今月どーでした?』と言うタイトルにし、編集部メンバー全員の似顔絵を掲載してご意見を楽しみに待っていることを伝えています。顔の見えるコミュニケーションを意識することは、メンバーの当事者意識を高めることにもつながりますね」