リーダーとしての決意がメンバーに腹をくくらせた

松田氏は、自ら決めたゴールイメージを実現するために、どんな要素が必要なのかを繰り返し書き出し、何度も雑誌の構成を作り直していった。正解かどうかは、結果が出るまではわからない。だが、自分の中で積み重ね、導き出した一つの答えがある。そこに揺るぎない自信を持ち、メンバーの前では不安をおくびにも出さないことを決意した。

「リーダーが堂々としていなければ、メンバーは皆不安になります。失敗するかもしれないという不安を見せず、『ついてきて!』という態度を示すことが大事ですね。それまでは、編集会議で『でも』『だって』という言葉が出ることもあったのですが、月刊化という大きな舵きりのタイミングで、全メンバーが腹をくくってくれました」

1色ページをやめて、誌面はオールカラーに。レシピの切り口は食材ではなく、「解決! マンネリごはん」「手間なしおかず」など、読者の悩みをズバリ解決し、共感を呼ぶようなものとした。

「新しい読者層をつかむために、『手抜きしてもOK』という価値観を打ち出す一方、料理好きな長年の読者も満足できるよう、時間を掛けて“豆をじっくり煮る”などの企画も残しました。どちらも共存できるような内容を目指しています」

また、編集長を引き受けた時点から、コミックエッセイを入れることはマストだと考え、リニューアル前から数本の連載をスタートさせていたという。

(左)松田さんはコミックエッセイ部門の編集長も兼任している。小栗左多里『ダーリンは外国人』、たかぎなおこ『150cmライフ。』などのヒット作も手がけた。(右)1987年(昭和62年)発売のレタスクラブ創刊号。今年で創刊30周年を迎える。

「現在は9本を連載しています。月刊化が決定する前、周年記念号にコミックエッセイの別冊付録を付けてみたら、反響は上々でした。コミックエッセイの内容は、日常を描くもの。レタス(クラブ)との親和性も高かったようで、狙い通り、あちらのファンが流れてきてくれたと感じましたね」

また、映画や本といったエンタメ情報を紹介するページを一新。人気男性声優・増田俊樹がエンタメ作品を紹介する形の連載を開始した。「ジャニーズ・タレントの連載や、宝塚のスターを紹介するコーナーが以前からあったので、次に狙うべきは、多くのコアファンを持つ声優だと。『なぜレタスにあの声優が?』とファンの間で話題になれば、その1ページのために購入し、ハマってくれる人も出てきます。SNSで広めてもらえるだけでもありがたいですね」

リニューアル後のレタスクラブ