大企業より中小企業のほうがコストをかけている

従業員1000人以上の大企業で、1人あたり100万円以上と回答した企業は5.5%だった。従業員1000人未満の企業を含めた全体平均は39万1000円だから、2倍以上の金額となる。だが、じつは大企業より中小企業のほうが、「1人あたり100万円以上」の割合はさらに高い。

従業員300~999人の企業では1人あたり100万円以上が8.6%。299人以下の企業では10.0%となっている。大ざっぱに言って、従業員1000人未満の企業のうち、10社に1社が新卒1人を採用するために100万円以上をかけていることになる。

仮に20人採用すれば2000万円以上になる。負担は重いが、費用をかけた分だけ、必要な採用数を確保できるのであればいい。しかし現実はさらに厳しいという。

 
▼中小企業を中心に就活サイト離れが進行か

従業員200人弱のあるIT企業は2018年卒の採用戦略を見直し、大手就活サイトの利用を中止したという。

「これまでは大手のサイトを通じてたくさんのエントリー数を集めて、その中から選考するスタイルでしたが、数年前から見向きもされなくなりエントリー数が激減しています。実際、受験者も少なく、採用数に達しなかった。就職情報サイトには300万円近く支払っていますが、あまり効果がないので利用をやめました。今年は中小のSNSサイトのスカウトメールを使って直接学生と接触したり、全国の大学や研究室を訪問したりしています。地道な活動ですが、リアルな場所で顔をつきあわせたほうが学生の人柄を知ることができ、採用にもつながりやすい」(採用担当者)

先のマイナビの調査では、採用費のなかで「就職サイトなどの広告費」の割合は40%を超えている。中小企業を中心に就活サイト離れも進行していると聞く。就活戦線が長期化する中で、大企業、中小企業に限らず、採用戦略も大きく見直されてくる可能性もある。

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