「配送料の圧縮」で儲けがでる仕組み
ゾゾタウンのビジネスモデルは、百貨店の商慣習である“消化仕入方式”を模したものといえる。百貨店では、出店しているブランドの商品が売れた場合、「百貨店側がテナントから商品を仕入れ、同時に販売した」という仕組みになっている。もちろん、消化仕入方式でも、テナント在庫はテナント側の負担である。
受託型ショップの取扱高と、ゾゾタウンが計上している売上高から類推すれば、受託販売手数料は28%程度という計算になる。この手数料は、百貨店の「消化仕入方式」よりも高い。たとえば取扱高(1332億円)と純売上高(251億円)を開示している丸井グループの場合、手数料は19%弱に相当する。
手数料は、百貨店であれば建物や売り場の管理、通販サイトであればサイトの管理や配送料にあてられる。つまりゾゾタウンの場合、配送料を圧縮できれば、それだけ儲けがでる仕組みになっているといえる。
現在、ネット通販をめぐって運送会社の負担が問題になっている。最大手のヤマト運輸は宅配ドライバーの負担を減らすため、ネット通販各社との契約見直しを進めている。この影響で、運送会社を変更する企業も出ている。ゾゾタウンにおいても、今後、配送料の負担が重くのしかかってくるはずだ。
今後のカギは「アマゾンの動き」
衣料品のネット販売は、今後も伸びていくことは間違いない。『図解!業界地図2018年版』(プレジデント社)では、「ネット通販」対「実店舗」という特集を組んだ。アパレルメーカーや実店舗側も自社サイトの運営に注力している。「ユニクロ」のファーストリテイリングや百貨店の高島屋なども、ネット販売を本格化させている。
中古品の買取販売サービスにも人気が集まっている。デファクトスタンダードが手がける「ブランディア」のように、テレビCMを集中的に投下する企業も相次いでいる。フリマアプリの「メルカリ」も人気で、こうした中古市場の拡大に寄与している。
新品と中古を交えた衣料品ネット通販が今後どうなるか。キーパーソンのひとつはネット通販世界最大手の米アマゾンだろう。今後アマゾンがどんな戦略を打ち出してくるのか。時価総額1兆円を超えたスタートトゥデイは、「儲かる仕組み」をいつまで維持できるのか。注目が集まっている。