ドンキホーテHDがまた増収増益の記録を更新した。1店舗で1日平均600万円を売り上げる脅威の集客力で、成長を加速させている。8月にはユニー・ファミリーマートHDとの資本・業務提携も発表。一体どこまで拡大するのか。『図解!業界地図2018年版』(プレジデント社)の著者が緊急分析する。

ドンキの年間集客は3億3321万人

ドンキホーテホールディングス(HD)の快走が続いている。2017年6月期の決算では28期連続の増収増益を記録した。

売上高は前年同期比9.1%増の8287億円と、初めて8000億円を突破。流通2強のイオンとセブン&アイHD、大手百貨店の三越伊勢丹HDなどを含めた小売全体では10位クラス。専門量販店では、「ユニクロ」のファーストリテイリング、家電量販店のヤマダ電機に次ぐ3位である。

同社は安値販売が大きな武器のひとつだけに、原価率は毎期のように70%を超す。ファーストリテイリングの50%前後と比較すると、20ポイント以上も高い。それでも売上高営業利益率は6%弱と例年通りの水準を維持している。

およそ1700億円に相当する土地を所有し、店舗家賃の負担を軽減しているのも、利益を押し上げる要因となっている。簿価1700億円は、三越の日本橋本店と銀座店を合わせた土地価額と同水準で、所有がほぼゼロのファーストリテイリングとは対照的である。

国内では高知と徳島を除き354店舗を運営。海外はハワイを含め米国に14店舗。合計368店舗における1年間の集客は3億3321万人だった。店舗数は異なるものの、大丸や松坂屋を擁するJ・フロントリテイリングの1憶9725万人、H2Oリテイリング傘下の阪急阪神百貨店1億5637万人を大幅に上回る。

ドンキホーテHD368店で計算すれば、1店舗1日平均の集客は2480人。同社の場合、大型店ともなれば店舗を運営する従業員は20人を超すが、それでも1人の従業員が毎日およそ120人を接客していることになる。

その結果、ドンキホーテHD全店ベースおける1店舗1日平均売上高は約600万円。「MEGAドン・キホーテ」などの大型店を運営する子会社の長崎屋の店舗に限れば、1店舗1日平均売上高は1000万円を超す。家具販売大手のニトリHDは約300万円、ユニクロも約250万円であり、ドンキホーテHDの1店舗1日平均の売上高は、専門店としては突出している。