――両角さんはこれまでそれなりに恵まれた環境でカーリングを続けてこられたとのことでしたが、一方で「カーリングはマイナースポーツ」であるとも言っていましたね。将来について不安はありませんか?
【両角】大いにあります(笑)。マイナースポーツゆえに、選手のセカンドキャリアについてのロールモデルがないので、僕自身の将来に関しても正直どうなるかわからない。
――引退した後のことは考えているんですか?両角
【両角】全然考えてないです。どこまで続けるかもわからないですし。年に10カ月のシーズン中は本当にカーリングだけの生活になるし、頭もそのことしか考えられなくて、将来のために動く暇もないので、怖いですけど忘れることにしています。僕らのチームはたまたま周りの人たちに支えてもらってここまでやってこれたので、今後もどうにかうまいこと転がっていくんじゃないかな、と(笑)。僕らが何かの前例を作って、後進のための環境を整えてあげたいとは思っています。ただ、後進の育成という面でも不安は絶えませんね。
現役生活の長さゆえに世代交代が難しい
――それは指導者が不足しているからですか? であれば、両角さんのセカンドキャリアとして指導者という選択肢もあるのでは?
【両角】それが、カーリングは現役生活が長いんですよ。僕は今33歳で、仮に22年の北京オリンピックに出られるとしたら37歳、まだ現役バリバリの年齢です。その次も出られたら41歳なんですけど、僕が担っているスキップという、チームのみんなに指示を出すポジションは、45歳ぐらいまでは問題なくできる。むしろ経験が生きるポジションなんですよ。だからさらに次のオリンピックも視野に入れられるし、少なくともあと10年ちょっとは現役でいられる可能性が高い。
――なるほど。その間に下の世代に育ってもらわないと……。
【両角】世代交代に失敗してしまう。僕ら自身、真剣にカーリングを続けて10年がかりでやっとここまで来た。なので、僕が現役をあと10年続けてから指導者に転身しても、次のチームを育て上げるにはさらに10年を要するという、なかなか気の遠くなりそうな話になってしまうんですよね。
――それに加えて、指導者として食っていけるのかという問題もきっとありますよね?
【両角】あるでしょうね。カーリングのコーチが仕事として成立するなら、指導を買って出る経験者の人もきっといると思います。
――今回、平昌オリンピックに男女そろって出場することで、そういった側面にも光が当てられるといいですね。
【両角】そうですね。今のジュニアの子たち、あるいはオリンピックを見てカーリングを始めてみようと思ってくれた子たちが、その先も続けられるような環境に、少しずつでも変わっていけるように。翻って僕ら自身も、表彰台を狙える位置まで来ているという手応えはあるので、それを実現するために必要なことを2月までにやりきって本番に臨むつもりです。やっぱり、ここまでカーリングに集中できる環境を整えてもらってきたので、それに見合うだけの結果を出したいですね。