――両角さんのカーリング歴は今年で20シーズン目とのことでしたが、カーリングはアマチュアスポーツであり、選手のみなさんは競技で収入を得ているわけではない。つまりほかに仕事を持たれているわけですよね?

【両角】カーリングって、進学や就職のタイミングでやめる人がすごく多いスポーツなんですよ。女子の場合は、オリンピック連続出場中という実績もあり、中部電力カーリング部や北海道銀行フォルティウス、北見のロコ・ソラーレといった、企業のバックアップを受けてカーリングに専念できるチームがあります。一方、男子は露出も少なくスポンサーも付きにくいですから、競技を続けること自体が大変なんです。ただ、僕らはスポーツコミュニティー軽井沢クラブというNPO法人に就職することができて、そこで仕事もしつつカーリングにも集中できているので、すごくラッキーだったというか。

カーリング男子日本代表 両角友佑選手

――特に苦労は感じていない?

【両角】うーん。今がんばってカーリングをやっているほかの男子チームに比べたら恵まれていますし、逆に女子の一部のトップチームと比べたら、苦労していると思います。でもSC軽井沢クラブは、少なくとも日本の男子チームの中では最もカーリングに時間を割けているチームでしょうね。

オフシーズンは平日6時間事務仕事に従事

――具体的に、仕事とカーリングの練習の割合はどのような感じなのですか?

【両角】5月6月のオフシーズンは、子どもを保育園に送ってから9時前くらいに出社して、午後4時くらいからトレーニングして、19時には帰ります。だから実働時間はたぶん6時間くらいですね。シーズン中は練習量が増えるので、働く時間はもっと減ります。5年ほど前まではオンオフ問わず普通に8時間働いてたんですけど、最近は練習の時間をかなりとってもらえるようになって、大会前などはほとんど練習漬けですね。

――仕事はどんな内容なんですか? SC軽井沢クラブは、地元の方々へのスポーツ指導や、スポーツイベントを行うNPO法人ですよね。

【両角】就職してすぐの頃は、お年寄りに健康のための運動を指導するインストラクターや、一般の人にカーリングを教える業務についていました。今は事務所に移ったので、NPOの事務処理をしています。

――チームメンバーは全員、SC軽井沢で働いているんですか?

【両角】スポンサーであるタカサワマテリアルさんという建築資材販売企業で働いている人もいます。そちらのメンバーとは働いている時間帯が少しズレていて、練習時間が合わない時もあります。

――普段の練習はチームの全員がそろって行うんですか?

【両角】チーム練習は今は週に4回で、それ以外は個人練習がメインです。みんな、とにかく1投でも多く石を投げたいタイプなんですよね。例えば練習時間が2時間だった場合、4人集まって練習すると単純計算で1人あたり30分しか投げられない。だったら全員バラバラでも、1人で2時間みっちり投げたほうがいいんじゃないかって。

――男子チームは一般的に、個人練習がメインなんですか?

【両角】いや、うちは特殊でしょうね。たぶん、チーム練習を重視するチームは、「チーム全員が同じ質の石を投げよう」という考え方なんですよね。つまり、野球のピッチングでいう球威や、石の曲がるタイミングをみんなでそろえようとするわけです。でもうちの場合は、全員がバラバラの質の石を投げても、おのおのの投げる石の質が安定していて、かつ指示を出す人間がその質の違いを把握していれば試合で合わせられるっていう考え方なんですよ。だから個人練でしっかり投げ込んでもらって、そのお披露目を試合でするイメージですね。