一撃必殺だからこそ“寸止め”の美学
格闘技入門最終回は、空手。空手は剣道、柔道とならび日本で最もポピュラーな武道の一つだろう。2020年からオリンピックの正式種目になることも決まっており、世界空手連盟の加盟国は193の国と地域、愛好者は世界で1億3000万人(※全日本空手道連盟の資料より)とも言われる。今や世界の“KARATE“だ。とはいえ、私はまったく足を踏み入れたことのない世界。空手といえば、素手で瓦を割るイメージくらいしかなかった。
ちなみに、私と同姓同名の美人空手家がいるが、残念ながらまったくの別人。海外からよくSNSで“You are fantastic!“とかメッセージがきたりするが、送信者のアイコンを見るとほぼ100%道着を着ている……。スミマセン。
今回も「痛かったらどうしよう」とちょっぴり不安を抱えつつ、美人空手家・高橋優子さんが主催する空優会・赤坂本部の道場を訪ねた。高橋さんは、開口一番言った。「ふつうは瓦を割ったりはしませんよ!」。そ、そうなんですか!? 「伝統派空手では、理論通りにちゃんと力が入っているかを確認するために『試し割り』はありますが、普段は相手に触れることもしません」。
空手には大きく分けて、相手に当たる直前に攻撃を止める(寸止め)「伝統派空手」と実際に突きや蹴りをぶつけ合う「フルコンタクト空手」があるそうだ。さらに伝統派空手には、松濤館(しょうとうかん)流、剛柔(ごうじゅう)流、糸東(しとう)流、和道流という4大流派があり、流派によって形(かた)も異なる。高橋さんが教えているのは、最大流派である松濤館流の空手だ。
「松濤館流には25の形があります。『一撃必殺』を目指しているので、ダイナミックかつ、直線的な身体の使い方が特徴です。最短距離を最速で動き、最大の力を出せるように考えられています」