介護に熱心になりすぎてモンスター化する娘

それが積み重なると担当ケアマネージャーや介護サービス事業者を信用しなくなり、モンスター化する人もいるといいます。

「娘さんの場合、精神的に不安定になる方がいます。とくに親御さんが認知症のケースですね。元気だった頃の親との会話や触れ合った記憶が鮮明にあるわけです。ところが認知症になり、目の前にはその頃とは別人の親がいる。自分のことを娘だとわかってくれないこともある。実の子としてこんなにつらいことはありませんし、これほど愛情を注ぎ、身を削る思いをしてケアをしているのに、なんでわかってくれないんだというやるせない思い。そのやりきれなさから言葉の暴力を発したり、それが高じて手を上げてしまったりするところまでいく人がけっこういるんです」(Iさん)

これは娘さんに限らず、ひとりで介護を担っているケースで頻発しているとのこと。負担を背負い込むことによる疲労に加え、孤立感から正常な判断ができなくなるためです。

嫁と小姑が介護で共闘できる条件

「介護の担い手になり得る人が複数いるのなら、チームとして介護を考えてほしい」とIさんはいいます。

「兄弟姉妹がいれば、負担を分担することを話し合うんです。その中には一番親御さんとの関係が良好で誰とでも仲良く話ができる人がいるはずです。なおかつバランスの取れた考え方のできる娘さんがいればベター。その人を介護のキーパーソンにするんです。親族や兄弟には年齢などによる力関係もあると思いますが、介護に関してはそのキーパーソンの判断に従うようにするんです。そういう存在がいる家族は、介護で問題が生じることは少ないですし、われわれケアマネも安心できます」

娘さんをキーパーソンにするのはお嫁さんが介護をするケースでも効果があると言います。

「お嫁さんにとって娘さんは小姑になります。小姑と嫁も折り合いが悪いというのが相場ですが、お姑さんと比べれば冷静になれる関係だと思う。その小姑と仲良くするよう努め共闘できる関係を築くのです。お姑さんも実の娘の発言は聞いてくれることが多いですし、互いに協力することで負担を減らすことはできると思います」(Iさん)

もうすぐお盆。実家に親族が集まる機会でもあります。もし親御さんが要介護、あるいはそれに近づいている場合は兄弟姉妹だけで集まり、介護の分担と誰がキーパーソンになるかを話し合うことも必要ではないでしょうか。