ここで、ふとあることに気がついた。組織図を見ると、ザックの名前がコンテンツ・チームの上に、ウィングマンのすぐ下にあるのだ。私は会社組織のエキスパートじゃないが、この図の配置によると、思うに――いや、まさかとは思うのだが――誰かのアシスタントだと思っていたこの男が、ひょっとして私の上司……なのだろうか?

上司はまるで高校生みたい

「ちょっと待って」と私は言った。「頭が混乱してきた」

そして、ザックを見る。

「ザック、君はここで何をしてるの? 仕事は何だい?」

「ああ、コンテンツ・チームの運営だよ」とザックが言う。

「じゃあ……コンテンツ・チームの……運営ってことは」と、つっかえながら私が聞く。「つまり……私の上司、ってこと?」。驚いた声にならないよう気をつけて言う。「君の部下、ってことかな?」

「上司」と言えるかどうかはわからない、とザックは言った。ザックの理解によると、厳密に言えば、私の正式なマネージャーはウィングマンだ。とはいえ日常的には、ザックが運営するチームで働くことに違いはない。

「クッソォォォォォォーッ」。心の中でうめいた。

「了解。素晴らしい」。口から出たのは、こっちだった。

職歴と言えば、初心者レベルの仕事をしただけ

ザックは、私が働くことになる部署を見せたいという。クラクラしながら立ち上がり、ザックについて会議室を出る。廊下を歩くと突然、すれ違う誰も彼もがとてつもなく若く見えた。まるで高校生だ。高校生はそこらじゅう、至るところにいる。ノートパソコンを抱えてパタパタと駆け回り、ガラス張りの小さなミーティングルームに群れを成して座り、ホワイトボードに何かを描いて、巨大モニターでパワーポイントのプレゼンテーションを見て、コーヒーを飲み、メモを取っている。このめまいは、パニック発作のせい? それとも、麻薬のフラッシュバック? ドアに向かって、ダッと駆け出したい衝動に駆られた。

クソッ、クソッ、クソッ、クソッ、クソッ。小さな声が頭の中でうめき続ける中、ザックとテカテカ光る頭を追って廊下を行く。こめかみの血管が、ぴくぴく脈打つのがわかる。

9ヵ月前、私は『ニューズウィーク』の技術編集者だった。あの頃なら、ザックのような人間には目もくれなかった。ウィングマンにも、いやクラニアムにさえ。電話があっても折り返さない、メールは開けずに消去する、そのたぐいの人たちだった。ハリガンやシャアですら小物過ぎて、おそらくコーヒーを飲む時間すら取らなかったろうし、彼らについて書くことなんて絶対になかっただろう。それが、ザック? お笑い草だ。大学を出てわずか5年。職歴と言えば、マスコミ2社でのインターン生活とグーグル地方支社の広告営業事務所で3年間、初心者レベルの仕事をしただけだ。