郊外を官能都市化せよ!

仕事に必要な事務用品はインターネット通販などの宅配で買える時代だから、商店街にあらゆる業種の商店と商品が揃っていることは在宅勤務地としては必須ではない。むしろひたすらアマゾンが使いやすい街にしてしまうという手もある。駅など街のあちこちに宅配ボックスが設置されていれば便利だし、宅配業者も楽だ。

その一方で、自然が豊富であるとか、仕事に疲れたらサーフィンができるとか、森の中をジョギングできるとか、農作業ができるとか、ちょっと気晴らしできる喫茶店や仕事帰りに楽しめる飲食店が多様に存在するとか、いろいろな人たちとの出会いのチャンスがあるなど、気分転換がしやすくてクリエイティブな刺激のある街がよい。

ホームズ総研所長・島原万丈の卓抜なネーミングを使えば、郊外の「センシュアスシティ」(官能都市)化が必要なのだ(島原万丈『本当に住んで幸せな街』〈光文社新書、2016年〉参照)。繁華街と同じ楽しさではないが、五感で感じる楽しさがなければならない。

郊外に週末通う生活

在宅勤務の適地は、おそらく定年前後の人が移住するリタイアメントサバーブ(リタイアメントシティと言ってもよい)や、日頃は都心でばりばり働くビジネスマンのための週末リゾート(リゾート都市と言ってもよい)としても適地である。自然が豊富で、散歩などの運動に適しているからである。都心に毎日通うには遠すぎるが、週末だけ休息に来るなら問題はない。

緑豊かな住宅地として整備された郊外住宅地は、開発から30年、40年を経て、今まさに緑豊かな住宅地へと完成してきている。ところが、そこで皮肉にも人口減少時代に入ってしまったわけだが、せっかくできあがりつつある住宅地を空き家だらけのまま放置して、今後の時代に適応した活用をしないのは実にもったいない。

だからそうした住宅地を、在宅勤務地、50代のうちから仕事と生活の両立をしながら移住するリタイアメントシティ、週末リゾート都市として整備し直すべきなのだ。そうした転換を図っていけば、人が毎日住んだり、働いたり、週末に人が訪問したりするので街の活気が失われない、むしろ新しい活気が生まれ、住宅地から都市へと転換し、街としての持続性を増し、結果として税収も増えるだろう。

ディーリングやITで稼ぐ富裕層なら、空いた土地をまとめて買って3000坪の農園付き別荘にするかもしれない。実際、フロリダのディズニーワールドの近くにディズニーが開発したニューアーバニズムの住宅地セレブレーションは、当初リタイアメントサバーブとして開発されたが、私が取材した2006年ごろでは、30代の在宅勤務のビジネスマンが増えていたようである。彼らは月に1~2度、ニューヨークやロサンゼルスの会社に行くのだそうだ。