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CASE1:成果を上げているのに、なぜ説教され続けるのか
●Iさん(43歳・男性)
粘着質で細かい部長に、仕事の本質以外のところで注意され続けたIさん。つい「成果は上げています」と反論したところ、部長から「生意気」と思われ、昇進がピタリと止まった。
Iさんは7年前にいまの会社に転職。問題の部長(50代後半)がやってきたのはいまから4年前だ。「今度の部長は細かいよ」という前評判だったが、Iさんは色眼鏡で人を見たくなかったので、あまり噂を信じないようにしていた。でも実際に上司に会ってみると、本当に驚くほど細部を重視する人だったのだ。報告書の書き方などは自分の「型」がガッチリ決まっていて、そこからはみだしたところを逐一指摘してくる。それまでIさんにとって上司とは、まず「よくやったね」と肯定し、そのうえで、「でもここを直すともっといいよ」というようにアドバイスをしてくれる存在だったので、まず否定から入るというスタンスがショックだったという。
そんなときに起きたのが、「台風事件」である。前日から「明日はダイヤの乱れが予想されるので注意するように」とは言われていた。Iさんはいつもより1時間早く家を出たが、ホームから人があふれ、ようやく電車が来ても満員で乗り込めない。会社に着いたときは始業時刻を1分過ぎていた。すると部長から、「電車が遅れることはわかっていたはずだ。おまえは社会人としての自覚に欠ける」と叱責を受けてしまったのだ。また別の日、Iさんが昼食をとりに外出したところ、店が混んでいてオフィスに戻るのが1分遅れたことがあった。そこでまた叱責。
「こんな仕事の本質以外の部分で評価が下がるのは納得できない」と思ったIさんは、数字を持ち出して「私はこんなに成果を上げています」「会社の目標だってクリアしています」と主張したが、部長は聞く耳を持たない。まわりの人によれば、どうやら「反論する部下」が嫌いらしい。よりによってIさんは、最も嫌われるようなことをしてしまったらしいのだ。そのため周囲が昇格・昇進しているなか、Iさんだけが昇進できないまま。いまではIさんは体調不良を理由に会社を休むことも多い。だいたい部長は5年単位で異動するので、あと1年辛抱するか、それとも転職するか悩んでいるという。
▼解説
異性からはさほどでもないが、なぜか決まって同性に嫌われる人がいる。男に嫌われる男、女に嫌われる女には、どういう共通点があるのだろうか。
「職場で同性から嫌われた経験がある」という4人に取材をし、そのレポートを心理カウンセラーの塚越友子さんに分析してもらった。
塚越さんによると、同性に嫌われてしまうのは、「同性間で交わされた暗黙のルールを破るタイプ」だという。
「男性は道徳、公平、正義を大事にする。だからそれに反する男性は同じ男性から嫌われます。いっぽう女性は女同士の横のつながりへの配慮を欠くと嫌われるのです」(塚越さん)
たとえば新入社員のくせに、「俺は結果を出しているんだから、雑用はしない」と言う男。これは上下関係の序列遵守という道徳を守らない行為なので嫌われる。また「上司の前ではいい顔をするが、上司が見ていないところではサボる男」「自分の利益のためには行動するが、他人のためには何もしない男」も、「公平・正義」という男の掟に反するのでアウト。
男性は上下関係を大事にするのに対し、女性は女同士の横のつながりを大事にする。これは「人間関係を重視し、それを良好に保つための気配りや共感を重んじる」という女性独特の道徳性からきている。みんなが人の悪口を言って盛り上がっているとき、自分だけいい子ぶって言わないような女性は、「共感を重んじないやつ」ということになり、女性たちから嫌われるのだ。
このIさんのケースは、「遅刻をしない」「上司の言うことを聞き、指示系統を乱さない」という男社会のルールを破ってしまったところが、上司から嫌われた原因だろう。
部長のパーソナリティに問題がありますが、こうした人が上に立つことは組織にはよくあります。彼らが発する細かい指示や注意を真に受けてはいけません。「私が指示を出す人」「あなたは指示を聞く人」という立場を伝えたいだけなのです。「俺に逆らったらこうなるぞ」と1人を標的にすることで、部署全体に対して恐怖感を持たせて服従させるのが彼らの目的です。組織は上司の絶対王政であると割り切りましょう。反論しては嫌われる一方です。何を言われても「はい」「すみません」で対応し、上司が変わるのを待ちましょう。