CASE2:まるで姑! お茶汲み、掃除に細かいダメ出しまで
●Eさん(45歳・女性)
男性ばかりの職場でたった1人の女性の先輩から、お茶汲み、掃除などのやり方を細かくダメ出しされる。やがて休日の待ち合わせをすっぽかすなど、嫌がらせをされるように。

Eさんは、20代のころ、自分より年齢は下だが職歴の長い女性社員に嫌われた経験を持つ。そこは土木業の会社で、女性がお茶汲み、掃除などをする古い体質だった。その先輩女性社員が、お茶の入れ方や掃除の仕方などについて、細かくダメ出しをしてくるのだ。

写真=PIXTA

「お茶の葉の量が少なすぎる」
「お湯を急須に注いだら、急須を揺らしてはいけない」

それでも女同士、うまくやりたいと思っていたEさん。あるとき彼女が、「今度の日曜日、おいしいと評判の店に一緒にパンを買いにいこう」と誘ってきた。ところが当日、待ち合わせ場所でずっと待っていても彼女はやってこない。電話すると「ごめん、もう買っちゃった」。最初から待ちぼうけを食わせるつもりだったのだ。

なぜ自分が嫌われたのかわからなかったEさんは、同僚の男性に相談。「いままで女性ひとりでチヤホヤされていたから、Eさんが目障りなんでしょ」と言う。その会社は仕事柄男性が多く、Eさんが入ってくるまで女性社員は彼女ひとりだけ。職場のアイドル的存在だったのだろうとEさんは見る。

▼解説

心理カウンセラー・塚越友子さんによれば、このようなケースは「ジェンダー・アイデンティティーの問題」だという。

「女性たちは集団のなかで、“気が利くこと”“人間関係を円滑に保つこと”“女性らしさ(美しさ、若さ、かわいらしさ)”などを競い合っています。このケースは職場の紅一点だったところへ別の女性が入社したことで、自分の地位が下がると思ったんでしょうね」同性から嫌われるとどうなるか。女性同士の場合、よくあるのが「集団での無視」。まるで小・中学生のようだが、これも“横のつながり”を重視するがゆえ。挨拶をしても返事をしない、会話は必要最低限のみ。もちろんお昼ご飯にも誘われないので、1人でランチを食べるはめになる。「女性は“人間関係を良好に保つ力”も女らしさの一部として数えられます。だから1人でランチをとる女性は目立ってしまう。ランチを一緒に食べる人がほしいという相談もよく受ける。これは“ランチメート症候群”と呼ばれています」(塚越さん)

▼塚越さんのアドバイス
あなたがどんなにがんばっても、このタイプはケチをつけてきます。どうすれば認めてもらえるのか、正解を求めてはいけないのです。
一連の嫌がらせは集団に加わるときの「通過儀礼」かもしれません。この人は私の仲間になれるかしらと意地悪なテストを仕掛けているのです。
女性の場合、この通過儀礼を通過できれば、その後は突然優しくなるというケースもあります。関係を改善したいなら、時間がかかりますが、ずっと怒られっぱなしになって無抵抗を続けていれば、認められる可能性はあります。