左手のためのピアノ協奏曲

モーリス・ラヴェル作曲の「左手のためのピアノ協奏曲」が大音量で流れると、熊野ジム(永井の所属ジム)の幟旗に先導されて永井が会場に姿を現した。入場曲にクラシックを流すなんて場違いな……と思ったが、後になって彼がサウスポーであることを思い出した。

岩瀬一茂氏(左)と永井浩氏(右)(撮影=THE FIGHT 有馬秀樹)

永井はボクシングを始める前、90キロ以上あった体重を63.6キロまで落としていた。腹筋がみごと6つに割れている。かつての永井とは別人だ。

対戦相手はパウンド・フォー・パウンド(全階級を通して最も強い)と評判の、岩瀬一茂・スーパーライト級チャンピオン(41歳・中央林間ジム)。第65回社会人ボクシング選手権大会では、自衛隊体育学校の選手相手に一歩も引かない試合を展開して、準優勝している(ライトウェルター級)。強敵である。

ゴングが鳴った――。(後編 (https://post.president.jp/sys/articles/preview/-/22313)につづく)

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