課題山積みの都政、議会のあるべき姿は

ここは東京も頑張りどころです。アジアナンバーワンの国際金融都市に育てるチャンスです。私は産業としての金融をあらためて東京で強化するための政策を準備中です。金融の再活性化によって、日本の経済成長率を押し上げるに留まらず、金融に不可欠な情報の集積地にもなりえます。今こそ、東京を真に世界に開かれた都市にするために、アクセルを全開にする時期です。

二元代表制の地方自治は、車の両輪にたとえられます。両輪とは、都民に選ばれた知事と議会を意味します。だからこそ、新しい東京へと改革を実践したい私と、方向性とスピードを合わせて進む議会が必要なのです。さもなければ、車は動きません。スピード感を持って、前へ前へと進まなければなりません。ましてや、後ずさりさせてはならないのです。

過去25年間において、東京都議会の議員提出条例で、可決された政策条例はわずか1件。都議会は都政が滞りなく行われているかチェックする機関でもありますが、待機児童問題、高齢者問題、災害問題、環境問題、ヒートアイランド問題、空き家問題と、課題が山積する中で、議員が積極的に条例案を提出するくらいの議会が必要です。議院内閣制の国会と制度的な違いがあるとしても、政策提案型の都議会であってほしいと願います。世界が注目する東京に今必要なのは、ブレーキではなくアクセルを全開にすることです。

議会改革は議員が動かねば実現しません。今回の都議選は、改革の本気度を競い合うものであってほしいと思うのは、都民の皆さんの共通の思いではないでしょうか。

都議会にとって本来、議員は一番ではありません。都民が一番です。だからこその「都民ファースト」の都政を実現する。それを決めるのは都民です。新しい都議会の誕生は、日本全体への大きな刺激になることでしょう。

小池百合子(こいけ・ゆりこ)
1952年生まれ。カイロ大学文学部社会学科卒業。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』などでキャスターとして活躍。92年政界に転身し、環境大臣、防衛大臣などを歴任。2016年、東京都知事に就任。
(構成=三浦愛美 撮影=原 貴彦 写真=代表撮影/ロイター/アフロ)
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