ここでは後者の案を採用したとして、どうすれば51歳以上の層からより多くの来店者を獲得できるかを考えてみます。

まず、この年齢層ではイベント費用と来店者数の間にどんな数値関係があるか、左下図1のようにExcelで散布図にします。

次に右下図2の手順で直線と数式を表示します。これらは2つのデータの相関、すなわち比例関係を表したもので、Y=aX+b(a、bは定数)の形で示されます。つまり、数式は来店者数=0.2706×イベント費用+150.08と読み替えられ、イベント費用をどれだけかけると、何人の来店者が見込めるかを過去のデータから導き出したものです。

この式を使えばイベントの予算に対する来店者数予測やその逆も割り出すことができます。この分析方法を単回帰分析と呼び、一定の相関が見られるデータであればすぐ実施できる優れものです。

こうして仮説を立て様々な数字を見ながら分析していくことで、赤字事業を改善したり、新たなビジネスを成功させたりすることができるのです。

【単回帰分析を使って解決策を導こう】

(図1)
相関分析の結果からイベントのターゲットとして定めた51歳以上の範囲だけを相関関係表(右ページ表)の中で指定し、「グラフ」から「散布図」を選び作成。すると、散布図から右肩上がりの傾向(相関)が読み取れた。

(図2)
さらに右クリックして「近似曲線の追加」を選択し、「近似曲線の書式設定」から「グラフに数式を表示する」をチェックすると、分布図の中に直線と数式が現れる。近似曲線とは2つのデータの比例関係を数式化したもの。この数式によって2つのデータの関係性を数値化することを単回帰分析と呼ぶ。

単回帰分析
2つのデータ間の相関関係を数値化すること。相関性の高いデータに有効で、比例関数を表した数式が導き出される。

[これが正解!]
⇒過去のデータから、解決策実現の根拠を発見!

現れたY=0.2706X+150.08という数式は、「来店者数=0.2706×イベント費用+150.08」という意味を表す。どれだけのイベント費用をかけると何人の来店者が見込めるかという理論上の予測だ。これを使えば、目標とする来店者数実現のためのイベント費用の予算を立てられ、より説得力のある解決策を実行できるようになった。

データ&ストーリー代表横浜国立大学非常勤講師 柏木吉基

1995年、日立製作所入社。米国でMBA取得後、2004年より日産自動車で多くの改革プロジェクトを率いた経験と実績を強みに、実務データ分析の講師として14年独立。
(構成=宮内健 、岩辺みどり)
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