面談ロールプレーを再現! 部下のやる気を高める声掛けとは

CASE1:「ワガママ若手」の意識を変える
若手●入社2年目の若手社員。目立つ仕事を求める傾向があり、定型業務や地味な仕事はほかの人に押しつけがち。

上司「新規プロジェクトは頑張っているけど、ほかの仕事が疎かになっている。先週も、A商事のクレーム対応をXさんに任せきりだったよね。」

若手「すみません。ですが、はっきり言って今は新規プロジェクトのほうが大事だと思うんです。」

上司「君は今後、どうなりたいの?」

若手「X先輩のように、チームを率いるリーダーになりたいです。」

上司「そうか、それならXさんと同じように周りの人と協力しあって仕事を進めていかないと。」

若手「そうですね。」

▼解決ポイントは「将来の目標を部下自身に語らせる」

トヨタの研修では、最近の若手の傾向を「成長欲求は高いが、短期間で成果を求める。自分を認めてほしい気持ちが強く、自分らしさを発揮する仕事がしたい。納得できる説明を欲しがる」と解説。若手との面談では、こうした傾向を押さえたうえで、プライドを傷つけないように進めることが大切だ。

ポイントは、冷静に聞き役に回り、熱く部下に語らせる中で、矛盾点、ギャップを引き出すようにすること。矛盾点が出てきたら、そのまま鏡のように返すことで相手が自ら気づく可能性が高くなる。

CASE2:「時短イクメン」を効率的に働かせる
イクメン部下●入社10年目のリーダー候補。社内結婚し、昨年第2子が誕生。妻が職場復帰したため、週に2度保育園のお迎えを担当することに。

上司「ミスが続いているようだけど、やはり週に2回残業できないのはきつい?」

若手「はい、とはいえ、妻の仕事も大事にしてあげたいし、子どもたちとも一緒にいたいです。将来の自分のキャリアは不安ですが。」

上司「そうか。でも、保育園のお迎えがずっと続くわけではないし、私も子どもが2人いるけど、今となっては、子育てで大変なのは一時的なことだったと思えるよ。」

若手「そうでしょうか。」

上司「今は時短勤務なのに、前と同じ働き方をしているから効率が悪く見えてしまう。一緒に仕事の進め方を見直してみよう。」

▼解決ポイントは「マイナス意見をプラス意見に転換する」

研修では「今後は育児や介護などの理由で、働き方を変えなければならない人が増加する。多様な働き方を積極的に認めていかなければならない」というダイバーシティ推進の方針を共有しつつ、長時間労働を是とする風土を改めるべき、といった意見が参加者から出ていた。

部下は仕事のミスが多発した原因を、自身が「イクメン」であるからと考えているが、解決方法はより効率よく仕事をしてミスを防ぐしかない。面談では、目の前にある解決可能な問題にだけ目を向けさせることがポイントだ。