「コンビニ買い食い禁止」「スマホ解約」「家計簿は手書きに」

こういった現状が分かったのですから、特に食費や通信費、生命保険料、洋服代などは支出をコントロールしたり契約を見直したりして支出を減らしていこうという気持ちになるかと思われましたが、簡単にはいきませんでした。

奥さんがお金をかけて当たり前の生活に慣れ、支出を下げる行動に変えていくことが難しかったのです。とりあえず、奥さんにも支出を下げることに関心を持ってもらおうと、今までパソコンでSさんが記録していた家計簿を手書きに変え、奥さんにも支出の記録にだけは参加してもらうことにしました。

なかなか変われない奥さんをサポートすべく、Sさんは頑張りました。

自分が昼食以外にコンビニで、チキン(からあげ)やポテト、お菓子などの買い食いを日常的にして食費を高くしてしまうことを自覚し、コンビニ通いをやめました。ほかにも、小さな事ですが、トイレのウォシュレットのコンセントを抜き、厚手の便座カバーをかけました。家族が集まる部屋の電気をLEDに変え、節水シャワーヘッドも使ってみました。

妻と子どものスマホは家電量販店で格安なものに変え、以前、加入した生命保険はいわゆる「お宝保険」ではなかったので、現状に合った保障内容のものに一部変更しました。

できれば支出の割合が大きい自動車も見直したかったのですが、リース契約がまだ2年弱残っており、解約によるマイナスがかなり大きくなるので、契約満了まで現状維持することにしました。少し元手はかかりましたが、支出削減にはつながりました。

このように「手書き」で記録をしながら、毎月の支出を把握していくと、月の収入で暮らすことができていないことを実感できますし、行動を変えるヒントも得られます。奥さんもSさんの頑張りを見て、食費を下げるために高級スーパー通いを控えるようにしました。また洋服代をかけないように気をつけ、2紙取っている新聞のうち1紙は解約するなど、少しずつ支出削減に向けた行動がとれるようになってきました。

奥さんが少しずつ変わると、毎月の支出も「見直し後」の額で落ち着くようになり、次第に安定しました。月ベースで家計をチェックできると、1年間の支出の波がつかめますし、節約のしどころもわかります。

Sさんのご家庭は、毎月14万円ほどの支出が削減できたので、赤字分を差し引くと毎月11万円以上の余剰金(黒字)が出せる家計に変えることができました。まだまだ節約を努力すべきところはありますが、まずまずといったところです。

月の収入の中で赤字を出すことなく生活ができるとボーナスの減り具合も緩やかになり、半分ほどを貯蓄に回せたとすると、今のペースでいけば1年で250万円ほど貯蓄が見込めます。そうなると学費も何とか支払っていけそうです。