打ち上げ失敗の絶望、そして直前の緊急事態――。さまざまな極限状態をどう乗り越えてきたのか。この道一筋33年、日本の先端技術を担う技術屋の熱き闘いのすべて。

部品点数100万点以上、製作1年半が30分で消える

「マイナス270秒か……」

前村孝志は、無意識に呟く。機械音にも似た女性の声によるカウントダウンは継続していたが、発射管制指揮者は打ち上げを止めた。予定の270秒前に。