明瞭な階層差 職業別「パチンコ・美術鑑賞」実施率

最新の2011年のデータを使って、追試をしてみましょう。しかるに、同じ図を再現するだけというのは芸がないので、ちょっと観点を変えてみます。ここでは、美術鑑賞実施率とパチンコ実施率のマトリクス上に、それぞれの職業を散りばめてみます。

前者は芸術趣味、後者は大衆趣味の代表格ですが、どういう図柄ができるか。図1をご覧ください。

斜線(均等線)よりも下にあるのは、パチンコよりも美術鑑賞の実施率が高い職業で、上にあるのはその逆(美術鑑賞よりもパチンコの実施率が高い職業)です。前者には、教員をはじめ、一般事務や保健医療など、ホワイトカラー職が多くなっています。後者の青色の枠内には、建設業、製造業、輸送・機械運転業などのブルーカラー職が多く位置しています。

ほう。フランスから遠く離れた東洋の日本でも、趣味という点において、明瞭な階層差が観察されるではありませんか。この図は、授業で「ディスタンクシオン」の話をする際に使える、いい教材になりそうだなあ。

こういう差異を大げさに取り上げて何が面白いのか、という意見もあるでしょう。どういう趣味を持とうが個人の勝手であり、別にとやかく言うことではありません。

しかし、教育社会学の観点から重要な問題を提起できます。こうした親世代の趣味・嗜好の違いが、子どもの教育達成の格差に転移されはしないか、ということです。

学校で教えられる抽象的な文化に親しみやすいのは、明らかにピンク枠の家庭の子弟でしょう。家には、各種の蔵書も多いと思われます。