なぜ金や新興国投資に注意が必要なのか?

先ほど、資産配分のところでも言及したが、金利の上昇局面では、過度な現金保有は得策ではない。マネーロンダリング対策やマイナンバー導入などもあり、現金に対する環境は厳しくなるばかりである。タンス預金でお金を保管することはもうやめたほうがよい。

日本株の基本的な見立てとしては、外需銘柄は堅調、金利上昇や円安の悪影響を受ける内需銘柄は軟調ということになる。だが、こうした軟調銘柄に「売り」をかけることは禁物である。今や日本企業の大株主は公的年金と日銀である。両者が本格的に売りに回ってしまうと日本株は暴落してしまうので、よほどのことがなければ持ち株を売ることはない。相場は需給で決まるという側面があり、売る人がいなければ株価は意外と下がらないものである。

最高の投資対象に思える自動車関連銘柄にも落とし穴がある。トヨタは2016年、従来の方針を大転換し、EV(電気自動車)の量産化を決定した。エコカーの主流としてEVが急激に台頭してきたことがその理由。構造が簡便なEVが主流になると自動車メーカーはこれまでのような利益を得にくくなり、市場はこうした変化を先取りする可能性がある。またEV化の進展に伴って水素関連銘柄にも逆風が吹く可能性があり、このあたりにも注意が必要だ。

世界経済への漠とした不安から金に投資する人もいるが、ドル高が続く場合には金への投資は不利になる。金価格は歴史的に見て、常にドルと表裏一体の関係だ。ドルが下がれば金は上がり、ドルが上がれば金は下がる。この基本法則を忘れてはならないだろう。

金と同じく、新興国への投資にも注意が必要だ。ドル高と米株高が進むと、世界中に流通しているドルが米国内に還流してくる。市場規模が小さい新興国は、わずかなドル資産を米国に引き揚げられただけでも株価が下がったり、通貨が下落したりする。マイナーな通貨の新興国は特に注意が必要だ。

ここしばらく低金利が続いたので、多くの人はすっかりその環境に慣れ切っている。日本の金利が急騰するリスクは今のところ低いが、ごくわずかでも金利が上がれば、その影響は意外と大きい。最近、銀行から目一杯ローンを引き出してアパートやマンションを一棟買いするという、いわゆるサラリーマン大家さんが増えているが、レバレッジを利かせた実物不動産投資は金利上昇の影響をモロに受ける。どんな投資でも同じだが、過度なリスク負担は禁物である。

▼「お金を増やす」ためのアドバイス

▼今年「やるべきこと」リスト6


1. 資産構成の見直し
2. 米国株投資
3. 外需銘柄への投資
4. REITへの投資(準備)
5. IoT・AI銘柄への投資
6. 仮想通貨への投資(勉強)

大規模投資と減税でトランプ大統領のアメリカは「買い」?
 
▼今年「やめるべきこと」リスト6


1. タンス預金
2. 日本株のカラ売り
3. 自動車関連銘柄への過剰投資
4. 金への過剰投資
5. 新興国への過剰投資
6. 実物不動産の一棟買い」

EV化の急進展で既存の自動車メーカーには逆風が吹く可能性も
 
(大沢尚芳=撮影 The New York Times/アフロ、AP/アフロ=写真)
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