マイナンバーを機に増えている「タンス預金」。リスクが大きいうえに、これからは積極的に資産運用を図らなければ目減りすることになる。

「滞留中」の1万円札は推計で4割にのぼる

銀行口座にマイナンバーが紐付くようになれば、自分の資産が丸裸になる。そうした状況への抵抗感からなのか、私の事務所でも「タンス預金」に関する相談を受ける機会が増えています。少し古い数字になりますが、日本銀行が2008年に発表した日銀レビューによると、タンス預金など使わないまま滞留している1万円札は推計で30兆円。これは当時の1万円札の4割にあたります。

しかし「タンス預金」はとてもリスクが大きいものです。ひとつは盗難。頑丈な金庫室を設けるためにリフォームをしたら、リフォーム業者から情報が漏れて盗難に遭った、という事例も聞いたことがあります。火災や洪水などで消失するリスクもあります。火災保険も現金の補償額が高額なケースは稀です。

物価上昇にともなって貨幣価値が目減りする「インフレリスク」にも要注意です。アベノミクスで物価はインフレ局面にあります。インフレとは、いままで100円で買えたものが120円になる現象です。その際、100円玉の価値は実質的に目減りすることになります。これまでのデフレ局面では「銀行に預けていても、ろくな利息がつかない」という状況でしたが、これからは銀行に預けるだけでなく、積極的に資産運用も図らなければ、どんどん資産が目減りすることになります。

それでは、どのように資産運用を行えばいいのでしょうか。インフレ局面に強い資産のひとつが株式です。

アベノミクスが始まった3年前に比べて、日経平均株価は8000円台から2万円前後まで、約2倍強の値上がりを果たしました。さまざまなメディアでも株式投資を煽る記事が目立っています。