残業が多いのに、給料は少ない。完全ブラック職種は?
『就業構造基本調査』のデータから67の職業の平均年収を計算し、過労死予備軍率と関連づけてみると図2のようになります。点線は、全職業の平均値です。縦軸の過労死予備軍の出現率は、1000人あたりの数(‰)にしています。
高給ですが、過労の度合いも高い医師が「ぶっ飛んだ」位置にあります。長時間労働の職業ほど年収が高いという相関関係は見られません。
過労の率が高いにもかかわらず、給料が安い。そんな職業も結構あります。
左上の職業がそうで、飲食調理、接客・給仕、自動車運転などは、過労死予備軍の率が相対的に高いにも関わらず、平均年収は全職業を下回ります。少子高齢化に伴い、需要が増している職業ですが、人手不足が効いているのでしょう。それでいて、薄給というのはキツイ。待遇改善で人を呼び寄せることにより、ドットを右下にシフトさせたいものです。
話がそれましたが、電通の悲惨な事件が、決してイレギュラーなケースではないことがお分かりいただけたかと思います。世間の耳目を引く「悲劇」の下には、膨大な予備軍が潜んでいるのが常です。それを統計で可視化し、注意を喚起するのも重要な仕事といえるでしょう。
(図版=舞田敏彦)